実際、鳥貴族を模倣したと思われる鶏居酒屋は次々と現れた。鳥貴族の快進撃を見てのことだろう。代表例はワタミの「三代目鳥メロ」、コロワイドの「やきとりセンター」、DINAMIXの「鳥二郎」、エー・ピーカンパニーの「やきとりスタンダード」だ。ワタミは不振が続く総合居酒屋「和民」を転換する形で、三代目鳥メロを急速に増やしている。こうした鶏居酒屋との競争が激化し、鳥貴族が客を奪われたと考えられる。

三代目鳥メロ 新宿御苑前店(東京都新宿区/編集部撮影)

飲食業界ではこうした「模倣」がたびたび起きている。例えば、エー・ピーカンパニーの「塚田農場」だ。本格的な地鶏料理を提供する居酒屋として07年より出店を開始し、全国に地鶏ブームを巻き起こして人気チェーンに成長した。しかし、12年から居酒屋大手のモンテローザが地鶏料理を提供する居酒屋「山内農場」を始めるなど、同様の地鶏居酒屋が増えて競争が激化し、塚田農場で客離れが起きるようになった。

専門外のメニューを充実させる飲食店が増加

塚田農場は、エー・ピーカンパニーの外食事業の店舗数のうち7割を占める。同事業の既存店売上高と客数は14年5月から18年9月まで53カ月連続で前年同月を下回っている。直近の18年9月の既存店売上高は前年同月比11.3%減、客数は同11.1%減という大幅な減少になっており、回復の兆しが見えてこない。同社の業績も不振に陥り、直近の18年3月期連結決算は、売上高が前年比0.9%減の約257億円、純損益が約2億円の赤字(前期は1億円の黒字)と厳しい状況だ。鳥貴族も似たような状況に陥りつつある。両社とも専門居酒屋特有の弱さが露呈しているように思える。

一方で、専門ではない分野のメニューを強化することで競争力を高めている飲食店が増えている。典型例は「回転ずし」だ。大手回転ずしチェーンのスシローは、ラーメンや牛丼、デザートといったサイドメニューを強化することで集客を図っている。また牛丼チェーンでは、「牛丼一筋」をうたってきた吉野家も、豚丼や鶏丼、カレーといった非牛丼メニューを強化している。苦戦が続いているドーナツチェーンのミスタードーナツは集客を図るため、17年11月に「ミスドゴハン」と名付けてパスタやホットドッグなどの食事メニューの販売を始めた。非専門分野のメニューを強化し、各社ともそれなりに成功しているようだ。