業態変革の先達は地方にたくさんいる

そうはいっても、ほんとうに40代、50代のミドルエイジが、新しいビジネスを始めていいのか、不安に思う人もいるだろう。だが、読者が思っている以上に、会社を業態変革させて成功したり、サイドビジネスにチャレンジするミドルエイジの経営者は多い。ここでは2人の事例を紹介しよう。

二軒茶屋餅角屋本店(三重県伊勢市)の第21代目の当主・鈴木成宗氏。彼は、東北大で微生物の研究をしていたものの、店を継ぐため実家に戻る。だが、もう一度微生物を勉強したいと思い立ち、三重大で博士号を取って、そこからクラフトビールの醸造を始めた。いまや国内外で人気を博すクラフトメーカー「伊勢角屋麦酒」を築き上げた。

飛騨高山で瓦かわらを施工している創業約70年の会社の3代目の森孝徳氏も、本業以外のビジネスに挑戦する経営者の一人だ。森氏はスマホやお金など人工的なモノから解放されて、沖縄の無人島で大自然を楽しむ「ヤバイ無人島アドベンチャー」を始めようとしている。ガイドブックには載っていない体験ができるというだけあって、子どもから家族連れまで幅広い層に支持されそうだ。運営資金は、いま話題のクラウドファンディングで募った。

このように、時代の変化に応じて、本業以外で新たにビジネスを行なうミドルエイジの経営者は地方に多く存在し、彼らから参考にできるところはたくさんあるだろう。

成毛 眞(なるけ・まこと)
インスパイア 取締役ファウンダー
1955年、北海道生まれ。中央大商学部卒。マイクロソフト社長を経て投資コンサルティング会社インスパイアを創業。書評家としても活躍。著書に『黄金のアウトプット術 インプットした情報を「お金」に変える』『成毛流「接待」の教科書 乾杯までに9割決まる』『AI時代の子育て戦略』など。
(写真=iStock.com)
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