もしも性被害にあってしまった生徒がいたとき、こういった指導を通じて、「校則を守っていれば、華美な服装をしていなければ被害にあわなかったのに」といった、被害者に責任があるかのような意識を与えかねない。こうした指導の実態は、早急に改められる必要がある。

合理的に理由を説明できない校則はいらない

数々の校則は、学校ストレスの原因にもなっている。そして、校則によって抑圧された人たちは、その後の人生でもさまざまな「学校後遺症」を味わっていく。自尊心が削られたり、不合理なルールに過剰適応してしまったりした結果、生きづらくなることもある。校則は、安全な教育空間を守るためにあるものだろう。それが子どもたちにとって暴力として機能するのであれば、直ちに改められる必要がある。合理性の説明できない校則は不要であるし、仮に一定の合理性があっても、個人を抑圧する校則は改められるべきである。

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プロジェクトに寄せられた声は、どこにもぶつけることのできない憤りや徒労感を、ようやく渡すことができたというようなものばかり。そして事例を投稿してくれた人の多くが、「なんとか世の中が変わってほしい」「理不尽な思いは自分たちの世代で終わりにしてほしい」というメッセージを添えていた。

校則は明日からでも変えられる。理不尽を放置するのか、それともなくすのか。私たちの選択にかかっている。

荻上チキ(おぎうえ・ちき)
評論家
1981年生まれ。著書に『ウェブ炎上』(ちくま新書)、『未来をつくる権利』(NHKブックス)、『災害支援手帖』(木楽舎)、『彼女たちの売春(ワリキリ)』(新潮文庫)、『ネットいじめ』『いじめを生む教室』(以上、PHP新書)ほか、TBSラジオ『荻上チキ Session‐22』メインパーソナリティ。
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