「まあ許せる」の範囲を広げる

私たちは、「自分だったらこうするのに(相手がそうしない)」といって怒りがちです。しかし、よく考えてみると、「自分はそうするけれど、他人が別の行動をとっても気にならない」ということがあります。

たとえば、同僚と一緒に食べるランチを食べに行ったとしましょう。自分の食べるものと、他の人たちの食べるものが違っていても、特別の事情がない限り、気にならないと思います。他人の食べるものは、何を頼もうと図の「(2)許容範囲」だからです

これを、やれ「揚げ物は体に悪いから食べるべきではない」だとか、やれ「野菜は食べるべきだ」などと、他人の注文に口を出すのが、(2)の許容範囲の狭い状態です。(2)の範囲が狭いと、他人の食べるものに、いちいち腹を立てることになってしまいます。それは、下手をすると人間関係を壊しかねません。

「正義の反対語は別の正義」と言われるように、人それぞれの立場や価値観によって、何が正しいかは異なります。他人の価値観や行動が、自分が腹を立てる必要が本当にあるのかどうかを、一度客観的に見つめなおすことで、許容範囲を広げることができます。それは、しょっちゅうイライラしている状況から免れることにもつながるのです。

朝生容子(あそう・ようこ)
キャリアコンサルタント
日本アンガーマネジメント協会 シニアファシリテーター。1965年生まれ。大手通信会社にて若手社員育成や女性社員活躍推進、マーケティングに従事。その後、社会人向け教育機関にて法人営業やマーケティングを担当。2012年にキャリアコンサルタントとして独立。現在は、社会人を対象としたキャリアカウンセリングや、企業研修講師として活動中。アダットパートナー講師。
(写真=iStock.com)
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