J&Jでは9年間で売上高を約4倍、利益を約10倍に

松本氏はこれまで経営者として数々の伝説をつくってきた。伊藤忠商事に勤務していた39歳のとき、大赤字を抱えた子会社のセンチュリーメディカルに出向して取締役営業本部長となり、6年間で売り上げを約10倍に押し上げて黒字化。45歳で転身したジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル(当時)では、率いた事業部で売上高を6年間で5倍にし、51歳で日本法人社長に就任。同社社長時代の9年間で売上高を約4倍、利益を約10倍にした。

そして老舗菓子メーカーのカルビーでも周囲の期待を超える業績を残した。「昔のことを振り返るのは好きじゃない」と松本氏は言うが、あえてこれまでの実績を振り返ってもらった。

──手掛けてきた事業は目を見張るほどの結果を出してきた。それをご自身はどう評価しているか。

【松本】「当然の結果と思っています。なぜかと言うとね、1つは勝ち馬に乗ってきたから。骨折したロバに乗っても、走りませんから。ビジネスは勝ち馬かどうかを見分けることが重要です」

「しかし、ただ乗っているだけでは馬は走りません。乗った後は『この馬を絶対に走らせるんだ』という強いこだわりを持ってやる。ちゃんと鍛えて、教えて、ときには鞭を叩いて、よく走ったらニンジンをあげるよと言えば、馬は走ります。なぜなら人間は損か得かで動いていますから。だからビジネスって実は簡単なんです」

「ただ伊藤忠の子会社に行ったときは当初、勝ち馬か負け馬かわからなかった。しばらくして、この会社は可能性があると気づいて、最終的に勝ち馬になった。一方、J&Jは明らかに勝ち馬だったし、カルビーもそうだった。でもカルビーはもっと伸びていい会社で、決して自慢できる結果じゃないと自分では思っています。勝ち馬に乗るとは言っていますが、実際はどこの会社にもそれなりのポテンシャルがある。経営とは、それをどうやって引き出すかということに尽きる。まったく力のない会社のほうが少ないです」