NTTデータも前年20位から8位に順位を上げていますが、これはITなどのテクノロジー企業でかつ大手であるということが有利に働いたのだと思います。将来に閉塞感のある現在、テクノロジーに強みがあるというのは会社の未来が明るい印象を受けます。

またNTTデータはインターンシップなどのプロモーション戦略もうまくいっていたように思います。AIや仮想通貨、自動運転といった「未来のテクノロジー」を連想させるキーワードを、今の就活生は前向きなイメージとして捉えると思います。

「未来に向けた前向きなイメージ」で順位を上げた電通

サッポロビールは、19年度新卒採用で、エントリーシートの選考にAIを活用すると発表しましたが、前年189位から32位へと大きく順位を上げています。新しいことへ挑戦する社風であることを、リアリティをもって伝えられている点が、学生人気を高めているのでしょう。

同じく「未来に向けた前向きなイメージ」で順位を上げたのが電通です。女性新入社員の過労死自殺など、働き方のイメージが最悪だった同社が前年23位から7位に順位を上げたことを、意外に思われる人もいるかもしれません。しかし、電通はこの事件を契機に本気で働き方改革に取り組んでおり、22時にはオフィスを完全消灯するなど、以前とは違う会社だということを発信しています。実際、ある電通のグループ企業では、新入社員はみな17時半に帰らせているという話も聞きます。そうすると、就活生の心象としては、「以前は大変だったけど、今は未来に向かって前向きに改革を進めている会社」というふうに見えるわけです。

逆に、少し陰りが見えるのが旅行業界です。JTBグループは前年4位から10位に、エイチ・アイ・エスは前年13位から33位に順位を落としました。これまで学生が抱く「旅は楽しい」というイメージが業界人気を支えていましたが、労務環境が厳しい業界でもあるという現実を、働き方改革の風が吹くなか、学生が認識し始めたということかもしれません。

まとめると、働き方改革をはじめとした最新のトレンドに乗り、かつ未来に向けた取り組みを提示できる企業が、現在の就活生の人気を集める企業と言えるのではないでしょうか。