経営破綻したリーマン・ブラザーズとは対照的に、瀬戸際で踏みとどまっている世界保険大手の米AIG。巨額の公的資金投入を受けながら、幹部社員へ高額のボーナスを支払うなど何かと話題を提供しているが、そのルーツは意外にも中国。AIG傘下の損保会社、AIUの前身が1919年に上海で事業を開始したのがグループの始まりだ。

日本への進出は46年と早く、4年後の50年には東京都心におよそ1200坪の土地を購入、自社ビルを完成させたのは74年のこと。行政当局の権限が強く、いわゆる護送船団方式がまかり通っていた時代から、行政や日本企業の顔を立てながら実を取るというしたたかさで、国内でも有数の地位を確保してきた。

持ち株会社のAIGの設立は意外に遅く、1967年のこと。以来、生命保険や損害保険はもとより、今回の世界金融危機の要因のひとつとなった金融取引に対する保険商品など、新しい金融商品の開発や販売、さらにはプライベートバンクまで持つ総合金融として、つい最近までは、世界のリーダー役を果たしていた。

そのAIGが実質的に国家管理に入り、日本で展開している生保会社などを売却するというのだから、日本の業界に影響が及ばないはずがない。買収先によっては、業界勢力図が一変する可能性も高い。アリコジャパン、AIGエジソン生命、AIGスター生命の3社を合計すると、保険料収入で住友生命に次ぐ5位の規模(かんぽ生命除く)だ。

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業界別再編戦国マップ

実現性が高いとすれば、国内勢同士による合従連衡。すでに損保業界では、三井住友海上グループHD、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険の3社が10年4月の経営統合で合意。損害保険ジャパンと日本興亜損害保険も同時期の統合を予定しており。これに東京海上HDを加えて、3グループとなり、3メガ損保に集約される。

損保業界トップの座を失う東京海上HD、損保事業を事実上切り離し身軽になる日本生命や住友生命の動向に注目が集まる。