日本の人口が減りつづけている。出生数は2016年に初めて100万人を下回ったが、2065年には約55万人にまで落ち込むという。将来のためにどんな備えが必要なのか。「20年後の日本」を襲う6つの課題について識者に聞いた。第5回のテーマは「地価暴落」だ――。(全6回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年1月1日号)の特集「老後に困るのはどっち?」の掲載記事を再編集したものです。

これから賃貸の空き家も急増していく

東京五輪・パラリンピックが終了した後の2020年代以降、高齢化率30%を超える極端な高齢化の時代に突入する中、不動産マーケットはどうなるか。地方だけではなく、東京においても地価は大幅に下落するはず。団塊の世代以上の人口が減少し、空き家が急増するからだ。

特に首都圏の郊外で育った子どもたちは都心のマンションで暮らし、実家には戻ってこない。買い手も借り手もなく資産価値は下がり、相続すらしなくなってしまう。野村総合研究所の調査によると、33年には空き家率が30%に達する。東京23区内でも、駅から距離があるような地域では大量の空き家が発生するだろう。

空き家が増加するのは賃貸住宅も同様だ。現在は「生産緑地制度」があり、30年間にわたり農業を営むと固定資産税が農地並みに軽減されるが、22年以降に軽減期間が満了する。そこで土地を売却・活用する人が増え、首都圏で多くの賃貸住宅建設が進むことが予想される。ところが需要の伸びは期待できず、賃貸の空き家が急増していくだろう。