東京五輪直前から中古住宅は下がりはじめる

タワーマンションはどうか。会社や学校に近い都心部のタワマンに住む選択肢は、ライフスタイルとしては正しい。でも、購入時に35年ローンを組んだとすると、35年後のそのマンションの姿を想像してみて、魅力的と感じるだろうか。タワマンは修繕費がかなりかかる。気がつくと、エレガントだったタワマンも老朽化で見栄えもしなくなり、資産価値は下落。都心部では多くの人が賃貸マンションを選ぶ傾向が強まっていくのではないか。

地価が大暴落した後、2040年にはこんなライフスタイルが一般化?(左)平日は都心の賃貸マンション(右)週末は郊外の200坪の持ち家でゆっくり(PIXTA=写真)

それでも購入するならもう少し待ったほうがいい。東京五輪直前から中古住宅は下がりはじめ、20年以降は明らかに安くなり、より取り見取りになる。今後、住宅市場に対する構造的な変化が起きてくるだろう。

実は40年あたりは、そのときの働き世代にとってバラ色の時代でもある。たとえば郊外の地価が大幅に下がるので、200坪くらいの自宅を購入する。普段は都心のマンションに住み、週末は郊外の広い田園住宅で暮らす。庭に芝生を張り池を作り、バーベキューもできる。そんな豊かな欧米型のライフスタイルが可能になる老後。私はそう見立てている。

牧野知弘(まきの・ともひろ)
オラガ総研社長
東京大卒。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストン コンサルティング グループを経て三井不動産に入社。「コレド日本橋」などの開発に携わる。2015年に独立。著書に『2020年マンション大崩壊』など。
(構成=青柳雄介 撮影=横溝浩孝 写真=PIXTA)
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