「僕なりのけじめとして引退を決意しました」。今年1月、不倫疑惑を報じられた小室哲哉氏が記者会見で引退を発表した。この数年、週刊誌報道をきっかけとして著名人の不倫謝罪が相次いでいる。「恋愛学」を教える早稲田大学の森川友義教授によれば、7割の男性は不倫をしていると推測できるという。そうした現状において「不倫バッシング」に正当性はあるのか。森川教授に聞いた――。

2018年1月19日、不倫疑惑が報じられた小室哲哉氏は記者会見で、涙ながらに引退を表明した。(時事=写真)

男性の4人に3人、女性の10人に3人は不倫経験者

一連の不倫騒動を、対岸の火事と捉えている人は、おそらく少ないだろう。というのも統計によれば、多くの人が不倫を体験しているからだ。

浮気・不倫に関するデータ(※1)を総合したところ、現在進行形で不倫している男性は26.9%、女性が16.3%にのぼった。さらに一生の間の不倫経験率は男性が74.0%、女性が29.6%。実に、男性の4人に3人、女性は10人に3人が不倫を経験していることになる。

不倫を「婚姻関係にある配偶者以外の人とセックスすること」と定義づけるならば、風俗でセックスを行うのも不倫行為だ。男性の風俗経験率は41.8%という統計もあり(※2)、こうした「風俗不倫」を含めるならば、男性の多くは不倫経験があると推測できる。

夫は不倫発覚でも10人中7人が家庭内でおさめる

その不倫はどれだけ見つかるのかといえば、発覚率は、夫21.0%、妻6.8%。男女間で差があるのは、男のほうがウソをつくのが下手で、妻は不倫発覚によって夫より失うものが多いため、慎重になるからだろう。司法統計の離婚申立件数から離婚の発覚率をもとに推計したところ、夫の不倫を知った妻は10人中3人が、一方、妻の不倫を知った夫は、10人中8人が離婚に向かうという数字が浮かび上がった。

つまり夫は不倫が見つかっても、10人中7人が家庭内で解決していることになる。そして不倫では快楽的なセックスを体験でき、恋愛感情が芽生えれば、至福感も醸成されるメリットなどがある。

だからといって、誰もが気安く不倫に及ばないのは、デメリットがあまりにも多いからであろう。食事代やホテル代などの経済的な損失。配偶者にウソをつく罪悪感。不倫相手から離婚を催促されるプレッシャー、性病や妊娠というリスクもある。さらに不倫が発覚した際に修羅場が待ち構えているのは容易に想像がつく。

※1 NHK「日本人の性行動・性意識」、相模ゴム工業「ニッポンのセックス」、日本家族計画協会家族計画研究センター「JEX ジャパン・セックス・サーベイ」、「週刊ポスト」「女性セブン」の調査
※2 国立女性教育会館「人身取引(トラフィッキング)問題について知る2011」