実際に目にしなくても証明する方法

私たちはふだん、なにげなく「必ず……」「絶対に……」という言葉を使っている。ビジネスシーンでも「必ず間に合わせます」「絶対に大丈夫です」といった言葉をよく聞く。

しかし本来、「必ず」や「絶対に」という言葉はそんなに軽々しく使えないものである。なぜならほとんどの場合、そうではない可能性を完全には否定できないからだ。実際、科学者や技術者ら理系の人はめったに「絶対に」「100%」という表現は使わない。

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あるものが存在するかどうかも同じだ。神の存在を信じない人に、神は絶対に存在すると確信させるのは難しい。目に見えないものの存在を納得させるのは容易ではない。

ところが、数学には実際に目にしなくても「100%(必ず)存在する」ことを示せる強力な方法がある。ポイントは種類と個数を分け、ダブりを見つけることだ。

まずは次の問題にチャレンジしてみていただきたい。

「横浜市には髪の毛の本数がまったく同じ人が必ず2人以上存在することを証明せよ。ただし前提として、(1)成人の髪の毛の本数は最大14万本、(2)横浜市の人口は約370万人を使ってよい」――。