デキるビジネスパーソンは、どんな人と組んでも結果を出すことができる。それは、「クセがすごい」とか「使えない」などと言われている人であっても、その人のタイプをつかめば、成果を導けるとわかっているからだ。どういうことなのか。経営・組織コンサルタントの秋山進氏がタイプ分類の方法を解説する――。

※本稿は、秋山進『職場の「やりづらい人」を動かす技術』(KADOKAWA)を再編集したものです。

「あの人は使えない」はアテにならない

組織コンサルタントとして、多くの企業と向き合ってきた。そこでたくさんの人に出会い、「あの人は優秀だ」とか「あの人は使えない」とか、いろいろな評価を聞いてきた。

ただ実際には、きわめて個人的な好き嫌いがあふれている。人はときに、自分の弱みを補完する人を過大に評価するし、一方で、他人から見れば似たようなタイプの人を毛嫌いしたりする。そこでは、絶対的な能力そのものよりも、人と人との相性が強く影響しているのだ。

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私は相性の良しあしを、その人の性格ではなく、ある程度は変更可能なその人の「仕事の進め方」に見出そうと努力してきた。その結果、「何を見るか(視点)」「どう考えるか(思考)」「どう動くか(行動)」の3つの軸について、人にはそれぞれ明確な特徴があり、それをもとに、8つのタイプに分類できることに気がついたのである。

その結果が、ここで紹介する「ビジネスパーソンのタイプ分類」だ。

このタイプ分類をもとに、各タイプの特徴やタイプどうしの相性をつかめば、仕事をする上での「苦手な人」は、「あなたの弱点を補ってくれる、ありがたい人物」に変身しうる。

小説家、実務家、革新者、政治家……職場に存在する8タイプ

まず、3つの軸について説明してみよう。人は、下記の3つの軸のそれぞれにおいて、2つのうちどちらが強いかによってその人のタイプが分かれる。

(1)視点のもち方……何を見るか
・ミクロ視点=身の回りの小さな世界における、人・関係・プロセスなどに興味をもつ。
・マクロ視点=大きな世界における、仕組み・機能・バランスなどに興味をもつ。
(2)思考のパターン……どう考えるか
・直観意味的思考=物事を自分なりの世界観で認識して解釈する。そして、物事に独自に意味づけをしたり、理由を見つけようとしたりする。
・事実論理的思考=事実と論理を重視し、理論的・定量的・統計的な視点から、物事の科学的な法則性を見つけようとする。
(3)行動の重点……どう動くか
・WHAT重点=「どうあるべきか、何を成すべきか、それはなぜかを明確にする」ことに重点的に取り組む。
・HOW重点=「どのように具体化するか、実際にどう現実化するか」に重点的に取り組む。

ある人は、「(1)視点の持ち方」は「ミクロ視点」が強く、「(2)思考のパターン」は「事実論理的思考」が強く、「(3)行動の重点」は「WHAT重点」が強い、という具合だ。

こうして、3つの軸を2タイプに分類した結果の組み合わせ(2×2×2)により、働く人は次の8タイプに分類できる。

1.想像力ゆたかな小説家(ミクロ×直観意味×WHAT)
2.創意工夫の技能者(ミクロ×直観意味×HOW)
3.現実を見抜く観察者(ミクロ×事実論理×WHAT)
4.頼りになる実務家(ミクロ×事実論理×HOW)
5.時代を感じる評論家(マクロ×直観意味×WHAT)
6.未来を創る革新者(マクロ×直観意味×HOW)
7.正しさを求めるコンサルタント(マクロ×事実論理×WHAT)
8.実現を目指す政治家(マクロ×事実論理×HOW)

たとえば、先に記した「(1)視点の持ち方」は「ミクロ視点」が強く、「(2)思考のパターン」は「事実論理的思考」が強く、「(3)行動の重点」は「WHAT重点」が強い人は、「3.現実を見抜く観察者」となる。

タイプ分類テストについては拙著『職場の「やりづらい人」を動かす技術』に詳述したが、長くなるためここでは割愛する。