真逆のタイプと仕事をすると……

ちなみに筆者は「正しさを求めるコンサルタント」タイプなのだが、その特徴は次のとおりだ。

○言動の傾向
業界動向、社会趨勢、技術の変化などを、データと論理を駆使した科学的思考によって認識し、「どのような状況にあるのか」「自分たちはどうあるべきか」などについて語ることを好む。要は、データやロジックを片手に「そもそも論」や「あるべき論」を語る人である。
○ビジネスの場面での振る舞い
・強み=業界の構造変化や顧客のトレンドの変化などを、定説のある理論やデータを利用して解析し、現状や市場のありかについて数字で、明確に表せる。何かあるとすぐにホワイトボードに図やグラフを描いて説明する人はこのタイプ。
・弱み=一定以上のデータが集まり解析できるようになるまでは、感覚に基づく行動を避けようとするため、時代に乗り遅れがち。また、コンサルタントタイプが提示する「あるべき姿」は、現場の人から見ると「わかりきったことを数字で示したもの」「机上の空論」と思われることも多く、現場感覚の薄い、使えない意見を言う人と評価されることも。

いろいろと身に覚えがあった方は、私と同じコンサルタントタイプかもしれない。

このコンサルタントタイプが、たとえば3つの軸すべてで真逆の特徴をもつ、ミクロ視点×直観意味思考×HOW重点の「創意工夫の技能者」タイプと協働しようとすると、どうなるだろうか。

話がさっぱり通じないことにストレスを感じる

実は私は、新卒当時「創意工夫の技能者」が圧倒的多数派を占める会社に入社した。正直にいって、当時は周囲の人々が何を考えているのか、なぜそんな行動をとるのかがまったく理解できず、話もさっぱり通じないことにストレスを感じ、辞めることばかり考えていた。

現場に山積する課題に対し、私は(できる能力はないが)根本的な解決をしたいのに、周囲の人々は根本なんてお構いなしで、モグラたたきのように対症療法的手段に明け暮れていて、それを最善の方法と思っているようだった。

それもそのはず、「創意工夫の技能者」タイプは、「成果を生み出すことへのこだわりが強く、さまざまなアプローチで課題解決に臨み、独自の工夫でユニークな成果をもたらすことができる。一方で、自分の技能でコントロールできる比較的小さい問題への対応には強いものの、構造的問題など大きな課題への取り組みは苦手」なタイプなのである。

これだけ「違う」人たちが、相手を理解しようとせずにお互いを「わけのわからないことをいい、わけのわからない行動をとる人」だと思っていては、出る成果も出ない。私の見てきた企業でも、人の能力を活かしきれていない組織には、このような「相性問題」が積み重なっていた。