2018年は、のちに「改憲元年」と呼ばれるようになるかもしれない。自民党は、同年中に改憲原案をつくり国会で発議する方向で走り始めている。あわよくば同年中に国民投票まで行ってしまおうとしている。党内で密かに議論されている「あの手、この手」とは――。
安倍晋三首相は今年3月の自民党定期党大会で、憲法改正発議への決意を表明した。(写真=UPI/アフロ)

早ければ18年に国民投票まで済ませる

2018年は、のちに「改憲元年」と呼ばれるようになるかもしれない。自民党は、同年中に改憲原案をつくり国会で発議する方向で走り始めている。あわよくば同年中に国民投票まで行ってしまおうとしている。9条を変えて自衛隊を明記することなどを盛り込んだ改憲には、護憲勢力はもちろん、自民党内ですら異論は根強い。しかし、自民党側はいざとなったら9条以外の部分に「自衛隊」の文字を潜り込ませるという案まで懐に潜ませ、あの手この手で「改憲元年」に臨もうとしている。

まず改憲の手順を簡単に「復習」しておきたい。改憲するためにはまず、法案に相当する改憲原案を国会に提出しなければならない。衆院、参院の憲法審査会で審議したうえ、両院でそれぞれ3分の2の賛成で「発議」となる。

これで改憲が実現するわけではない。発議から60日~180日以内に「国民投票」を行いそこで可決されたとことで、初めて改憲が決まる。ただし改正憲法が実際に効力をもつには一定の期間を経て「施行」されるのを待たなければならない。つまり改憲に向けては「発議」「国民投票」という2つのハードルをこえ、さらに施行を待つという長い道のりがある。

「お試し改憲」は安倍首相のプライドが許さない

自民党憲法改正推進本部(細田博之本部長)は、

(1)安全保障に関わる「自衛隊」
(2)統治機構の在り方に関する「緊急事態」
(3)1票の格差と地域の民意反映が問われる「合区解消・地方公共団体」
(4)国家百年の計たる「教育充実」

の4項目について議論しており、さらに他党から意見提案があれば門戸を広げて検討する考えを示している。20日には、これまでの議論の成果をまとめた「論点整理」を公表している。