「人生を学んでいる間に手遅れになる」

『パリのすてきなおじさん』――。このタイトルとおしゃれなイラストが描かれた表紙から、ファッション系のライフスタイル本なのかと思っていたら、驚かされた。なぜなら、これは自分に誠実な生き方をしているおじさんたちの、リアルな人生の物語が詰まった1冊だからだ。

金井真紀(かない・まき)
1974年、千葉県生まれ。作家、イラストレーター。本書の案内役でフランス在住40年のジャーナリスト・広岡裕児氏と日本で鴨料理を食べながら「パリのおじさんを集めよう」と発案した。著書に『はたらく動物と』など。

異なる民族、宗教、歴史を持つ実に様々なカラーのおじさんたちに出会える街、パリ。「人生を学んでいる間に手遅れになる」。おじさんからこんな名言が飛び出してくるのもパリの面白いところだ。本書には、おじさんたちが人生で失敗したことや学んだこと、感じたことが、彼らの等身大の言葉でつづられている。その言葉は、イラストレーターでもある著者による、おじさんたちの似顔絵とともに生き生きと語られる。

「自分の人生のいいところも悪いところも見つめ『これが自分なのだ』と受け入れて生きていく。多様な文化が交じり合うが、それぞれが溶け込まないパリで生き抜く彼らはかっこいいと思いました」

著者は、故郷から遠く離れてパリに移り住んだ人や、母国の戦火から逃れるため、フランスにたどり着いた人なども取材した。「おじさんたちの物語からはフランスがたどってきた移民、難民の現状が見えてくる」。日本が2016年に難民認定した人数は28名。他国と比べ極端に少ない現状を見ると、おじさんたちから学ぶことは多い。

自分自身を見つめ認める。そんな生き方をおじさん一人一人が提言してくれる。もしあなたが会社の業務など日々のタスクに翻弄され「人生が窮屈だ」と感じているのなら、おじさんたちはあなたの世界を広げる風穴となってくれるだろう。