12月13日、愛媛県伊方町にある四国電力の伊方原子力発電所3号機に対し、広島高裁が運転停止を命じた。この広島高裁の仮処分決定に納得できない産経新聞と読売新聞は早速、社説で反論を展開。一方、原発に反対する朝日新聞や毎日新聞も社説のテーマに取り上げ、「火山国に原発はなじまない」などと主張した。火山列島の日本に原発は適さないのだろうか――。
読売新聞の社説(12月14日付)。見出しは「伊方差し止め 再び顕在化した仮処分の弊害」。

「強引さと言い訳めいた論理展開が目立つ」と産経

産経社説(12月14日付)は広島高裁が運転を認めない理由について、次のように説明する。

「伊方原発から130キロの位置にある阿蘇山の巨大噴火を挙げた」
「9万年前の破局的噴火の規模なら、火砕流が到達する可能性は否定できないとした」

こう書いたうえで広島高裁の決定を「あまりに極端だ。そうした噴火が起きれば、原発以前に九州全体が灰燼(かいじん)に帰するではないか」と手厳しく批判する。

さらに「全体に強引さと言い訳めいた論理展開が目立ち、説得力の乏しい決定といえる」とも批判する。

産経社説は「極端」「強引」「言い訳」「説得力が乏しい」と徹底した書きぶりである。原発を肯定してきた産経らしさがにじみ出ている。

一般的に司法判断に対し、新聞社が社説でここまで批判するのは珍しい。批判というより「非難」といった方がいいかもしれない。

産経社説は「規制委の安全審査に合格した原発への仮処分自体、そもそも不適切ではないか」とまで書くが、原子力規制委員会自体を絶対的存在として捉え過ぎている面もある。

社説の最後も「今後の各地裁でのよりどころとなるべきであるにもかかわらず、混乱を助長するものとなった。極めて残念だ」と高裁の判断を厳しく批判する。

40年の運転期間に「破局的噴火」が起きるか

読売社説(12月14日付)は「再び顕在化した仮処分の弊害」という見出しを立て、サイドから批判している。

読売社説は「10月から定期検査に入っている3号機は、来年1月に運転再開予定だった。四電は決定を不服として、執行停止などを広島高裁に申し立てる方針だ」と書き、「当分、運転再開は見通せない」と指摘する。

仮処分自体の問題点について言及し、「証拠調べを十分に行わずに短期間で判断する仮処分は、効力も即座に生じる。高度な知見を要する原発訴訟への適用には慎重であるべきだ、とかねて指摘されてきた。その弊害が改めて顕在化した」とも書く。