日本の「防衛費」が増え続けている。2018年度の予算案では過去最大となった。昨年11月に米トランプ大統領が来日し、政府は迎撃ミサイルシステムなど米国製の高額な兵器の購入を決めた。防衛態勢の強化は必要なのだろう。だが、日本にどんな兵器が必要なのか。それを決めるには日本なのか、米国なのか――。
2015年12月10日、「イージス・アショア」は実験で初の迎撃に成功した。(写真=U.S. Missile Defense Agency/ロイター/アフロ)

防衛費の増加は4年連続で過去最大

政府が昨年12月22日、2018年度の国家予算案を閣議決定した。一般会計総額は「97兆7128億円」と6年連続で過去最大だ。社会保障費が高齢化によって増えたことがこの過去最大の原因である。

税収は増えたものの、全体の3分の1以上は新規国債で賄っている。簡単にいえば、財政健全化からほど遠い借金に頼り切った予算案なのだ。

中でも問題は、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮や海洋進出を強化する中国に対する備えから拍車がかかって拡大した防衛費である。その規模は前年度よりも660億円も多い5兆1911億円となった。4年連続の過去最大だ。

米国のトランプ政権が誕生して以来、防衛力の増強がますます進んでいるが、果たしてこれでいいのか。

「どんな兵器をもつかを決めるのは日本自身だ」

予算案は今年1月に召集される通常国会に提出され、与野党で審議される。与野党がしっかり議論してほしい。すべては国民の税金なのだから。

12月23日付紙面で朝日新聞は「どこまで膨らむのか」とお得意の皮肉を込めた見出しを付け、防衛費の拡大を批判している。この時点で各紙は予算全体をまとめて論じているだけだった。それに対し、朝日は第1社説という扱いで防衛費をテーマに取り上げている。

朝日社説は「陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』や長距離巡航ミサイルの導入を決めた。ほかにも戦闘機F35Aや無人偵察機グローバルホーク、新型輸送機オスプレイなど米国製の高額な兵器を購入する」と日本政府が予算に組み込んだ主な武器を並べる。

そのうえで「トランプ米大統領は11月の来日時、安倍首相との共同記者会見で『非常に重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ』とあからさまに迫った」と指摘する。

強気のビジネスマンらしいトランプ氏の発言に安倍晋三首相は押されっぱなしだった。それでも朝日は強く主張する。

「日本がどんな兵器をもつかを決めるのは日本自身だ」

まさに朝日社説の言う通りである。

アメリカやトランプ氏のために武器を購入するのではない。日本の防衛のために買うのだ。アメリカを利するだけの購入なら直ちに止めるべきである。安倍首相や日本政府はそこのところをよく考えてもらいたい。