個数増加はラストワンマイルに大きな影響

次に影響力が大きいのは「荷物量の増減」だ。ここ数年の傾向を見てみると、国内貨物輸送量、つまりB2B(企業対企業)は微減だが、B2C(企業対消費者)では増加している。背景にはEC(Eコマース)の急速な普及がある。

総務省の家計消費状況調査によると、インターネットを利用した1世帯あたりの支出総額について、2010年と2016年を比較すると、すべての世代で伸びている。特に50代、60代、70代の利用額が、対2010年比でそれぞれ134%、125%、174%増と大きく伸びている。インターネットを使いこなす高齢者が増えていくのに伴い、今後、高齢者のEC利用もますます拡大していく。

ECの普及と平仄(ひょうそく)を合わせて、配達する荷物の個数も増えている。国土交通省の「平成27年度 宅配便取扱実績について」によると、宅配便の取り扱い数は、2010年以降微増の傾向にある。このトレンドが続くと、われわれの試算では2015年に3億7000個だった宅配取り扱い数が2027年には5億4000個にまで増える。このためドライバーに対する需要も増加する。

最寄りの配送拠点から配達地(例えば家庭)までのラストワンマイルの配達に関しては、どうしても小分けして運ばなければならない。荷物の個数が増えれば、人手がより必要になってしまうのだ。

10トントラックに積まれる荷物は10年間で2割減少

ECの普及などを背景に、貨物1件あたりの重量は1990年から低下し続けている。つまりは小ロット化だが、これに伴い、トラックの積載効率も低下している。国土交通省が調べた「物流を取り巻く現状について」によると、2005年には50.3%であった営業用トラックの積載率は、10年後の2015年には40.5%と、年々低下している。要は10トントラック1台に積んでいた荷物が、10年間で5トンから4トンへと、2割も減少しているのである。

10トントラックに載せている荷物が2割も減っている、というのはあくまで平均値の話だが、実際に何が起きているかと言えば、空車で走る距離が伸びている。なぜかと言えば、都市と地方における物流の需要格差が影響しているためだ。仮に都市から100%近い積載効率で荷物を運んだとしても、地方から都市に運ぶ荷物がほとんどなければ、帰りは空車に近い状態になってしまう。

もうひとつ積載効率を低下させている背景にあるのが、納入の期限だ。配達時間の指定が細かく区切られている場合、荷物が満載になっていなくてもトラックを出さなくてはならない場合がある。特に交通渋滞の影響が大きい都市部では、納期を守るために低積載でも出発しなくてはならない事態が頻発している。