30代の38%の夫は妻から心理的・身体的暴力を受けていた

男であれ女であれ、職場でパワハラを受け精神的苦痛を負っている人にとって、家庭こそ“癒しの場”になるはずだ。しかし、その家庭でもいじめなどのハラスメントを受けている人が少なくない実態も浮かび上がっている。

労働組合の中央組織の連合の調査(「ハラスメントと暴力に関する実態調査」2017年11月16日発表)では、婚姻経験者を対象に配偶者から暴力を受けた経験があるかを聞いた。

その結果は、配偶者から暴力を受けたことがある人は31.6%。約3人に1人が経験している。その内訳は「心理的攻撃」24.4%、「身体的暴力」14.8%、「経済的圧迫」13.9%、「性的強要」9.8%となっている。

▼「性的強要」を配偶者から受けた率 30代妻12.5% 30代夫21.4%

この調査では、さらにショッキングな結果も判明した。暴力を受けたのはほとんどが女性だと思いがちだが、男女比では女性37.1%に対し、男性も26.1%と高い割合を示していたのだ。

しかも驚くことに若年世代に限ると、男女比が逆転している。10、20代で暴力を受けたのは男女ともに33.1%だったが、30代では女性35.4%に対し、男性は38.1%だった。妻に暴力を受ける夫はかなり多いのだ。

*写真はイメージです

例えば、「身体的暴力」を受けたのは10代・20代女性が19.0%なのに対し、男性は25.0%。30代では女性が14.6%なのに対し、男性は23.8%と大きく上回っていた。また「経済的圧迫」を受けたことがある30代女性が18.8%なのに対し、30代男性は23.8%もいる。稼いだ給与を妻が管理し、自由に使える小遣いが少ないということだろうか。

さらに「性的強要」を受けたことがある30代女性が12.5%なのに対し、30代男性は21.4%も存在する。この比率は他の年代に比べて突出している。30代の男性は「心理的攻撃」「身体的暴力」「経済的圧迫」「性的強要」のいずれにおいても女性より暴力を受けているのだ。

会社では戦力の中核であり、負わされる責任も重いが、家庭が癒しどころか、苦痛を受ける場になっている人が少なくないことがわかる。