技術先行で生まれたオレンズネロ

「2013年の新製品発表会に、芯の技術部隊が0.2mmよりもっと細いものを、と究極に細い0.1mmの芯を作って展示したんです。ですが、芯だけ出てきたのを見たら、当然『シャープペンシルも作ってよ』という話になりますよね。そこからシャープ本体の開発部隊の連中が『この芯で書けるものを作ろう』と言い始め、0.1mm芯で書けるシャープペンシルを開発し、翌年の新製品発表会に出しました」(丸山氏)

2013年の新製品発表会に参考出展した、0.1mmのシャープペンシル用芯(のケース)。

だが、このときの0.1mm芯用の展示品は普通の構造のシャープペンシルであったため、来場者が試し書きをするたびに芯が折れてしまい、開発部隊はブースの裏で部品を取り換える対応に追われた。

「こんなに折れてたら書けません(笑)。次はもっとまともなものを出そう、技術的にも進化させたい、ということで、翌2015年の発表会に展示したのが、0.1mmでも折れずに書けるシャープペンシルです。このときに実は『自動芯出し機能』をこっそり入れていました。0.1mmでこういったものが作れるので、0.2mmなら量産レベルで問題ないです、ということをアピールしたかった。結果としてそれが『オレンズネロ』の開発へとつながりました」(同)

一方ですでに生産されていた極細芯専用の「オレンズ」は、芯が細いゆえに減りが早く、ノックする回数が多くなってしまうことについて、開発陣は不満を抱えていた。この「オレンズ」に「自動芯出し機能」を組み合わせれば、極細芯でもノックの回数を少なくできる。

パイプが常に芯を守り、芯が折れない「オレンズシステム」と、ペン先を紙から離すと芯が出てきてノックが不要な「自動芯出し機能」を組み合わせたのがオレンズネロだ。