大手ゲーム開発会社「採用1人に100万円超」

採用費に占める割合が大きいのが、何と言っても広告費だ。これは、就職情報誌や就職情報サイト、新聞など一般に公開される採用情報を掲載・出稿するための費用である。

それに加えて、入社案内やホームページ・ダイレクトメールなどのツール作成費、DM発送費、セミナー運営費、アウトソーシング費(データ処理・電話オペレーターなど)、資料発送費といった細かな「採用経費」もバカにならず、総計のコストは想像以上にかかるのだ。

上場企業の採用費が多いのは採用数が多いからだと考えられる。入社予定者1人あたりの採用費平均は42万3000円だが、非上場企業の場合は46万7000円と高くなる。大企業に比べて知名度も低く、採用に苦戦している中小企業に採用費が重くのしかかっていることが推測できる。

もちろん個々の企業によって採用費は異なる。

▼最も採用費が多かった企業は1億6500万円

大手ゲーム開発会社の採用担当者はこう指摘する。

「採用数は30人以下ですが、インターンシップの開催を含めて他の大企業なみのイベントを開催しているので1人あたりの採用費はどうしても高くなる。全体で2000万円超、1人あたり100万円は超えていると思います」

これは決して珍しいケースではない。産労総合研究所が調査*によると、従業員1000人以上の企業の採用費総額の平均は2381万9000円という。しかも2000万円以上が全体の37%を占めている。

*産労総合研究所「2015年度新規学卒者の採用活動・管理の実態」より。回答のあった上場企業および産労総合研究所会員企業296社のうち、従業員1000人以上の企業105社分を分析。

驚いたのは、最も採用費が多かった企業は1億6500万円だったことだ。「非製造業」というこの会社が、いったい何人を採用したのかは不明だが、仮に200人だとすれば、1人あたりの採用費は82万5000円になる。

実際には、新卒1人を採用するのに、それ以上の金額を注ぎ込んでいる会社も少なくない。