イチかバチか、腰を後ろに反らしてみる
「すっごい痛いし、すっごい勇気いるけど──」
ある日テレビをつけると、明石家さんまさんがご自身のギックリ腰を、一瞬で治したというお話をされていた。
「ギックリ腰、治してん。なった瞬間、治してん!」
本を入れた重い段ボールを持ち上げようとしたとき、「ギクッ!」と腰にきてしまったというさんまさん。次の瞬間、イチかバチか、「わああああー」叫びながら腰を後ろに反らしたらしい。
「ほんだら、あれ……?」
なんと痛みは消えてしまったという。「すごい! さんまさん天才!」。私はテレビの前で思わず叫んだ。だって、それは最新の腰痛研究からすると「正解!」といってもいい方法だから。おそらくそんなことはご存知のないさんまさんが、直観で判断し、行動に移し、自分で解決したところがすごいではないか。
安静にすれば再発する可能性が高くなる
ギックリ腰になったことのある人ならわかると思う。アレが、どれほど痛くて、どれほど動けないか。腰を後ろに反らすなんて、とんでもない。そんなことができるギックリ腰など、もともとたいしたことがなかったのではないか? そう思った人がいたとしても無理はない。
この25年、世界では腰痛に関する研究が飛躍的に進んでいる。長い間、腰痛といえば、骨や関節、椎間板や靭帯、筋肉など、腰の部分的な「損傷」だと思われてきた。ところがさまざまな研究により、「慢性の腰痛」は、「腰の問題」というよりは、「脳」そして、その「脳」と「心理社会的要因」との関連が強いということがわかりはじめている。
「急性腰痛」、つまりギックリ腰に関しては、「安静にすれば痛みが長引き、再発する可能性が高くなる」ことがわかっている。