星野リゾートは、ほかとなにが違うか

このような「代替型」の企業はほかにもあります。旅館やリゾートホテルの再生事業で知られる星野リゾートもその1社です。同社が代替しているのは、旅館やホテルの運営です。従来、日本の旅館は所有と運営が同一であるのが一般的で、スタッフはフロント、調理、清掃などの専門職に分かれ、非効率な部分が多くありました。そこで星野リゾートは、所有と運営が分離している米国流の運営ノウハウを取り入れ、一人で4つの仕事ができるようにしてスタッフの稼働率を高め、より少ない人数で運営できるようにしたのです。

また、クレディセゾンの子会社であるキュービタスは、クレジットカード事業のうち、カードの入退会手続き、監査業務、カードの決済、問い合わせ対応などを行うプロセシング業務を専業とする会社です。プロセシング事業は規模の経済性が働き、規模の小さなカード会社は自社でやってもペイしません。同社はそうしたカード会社の業務を受託して成長してきました。

これらのケースに共通するのは、「見える部分は差別化、見えない部分は効率化」ということです(下図)。セブン銀行など、代替型の協調戦略を取る企業は、同業企業の見えない機能を代わりに引き受けることで規模の経済を追求し、利益を上げているのです。