英語に訳すための思考回路

もちろん、英語のまま考えて話すのが一番いいのですが、そうなるまでにはかなりの慣れが必要です。そのため、誰でも最初は日本語から訳すことからになります。考え方のポイントは次の3つ。

<英語に訳すポイント>
(1)日本語をできるだけ簡単にする
(2)結論を決める
(3)日本語の並びを、「なにが」「どうした」と英語の型に合わせる。

日常的に使っている日本語は、どうしても語彙が豊富。何よりも“慣れ”があります。そのため、訳そうとする日本語のレベルが高くて、自分の英語のレベルでは訳せなくなってしまいます。

例えば、最近よく聞かれる政治家の「忖度」(そんたく)という言葉があります。これは「人の気持ちを考える」「行間を読む」など、さまざまなニュアンスを含みすぎて、英語に訳すのは文脈次第になってきます。

行間を読むならreading between linesだし、推測するならsurmise、気持ちを汲むならreading what someone is implying……。しかし、こんな表現はそう簡単には浮かびません。言葉につまるよりも、「~だろうなと思う」と平易な日本語にしてしまえば、supposeやguessが思い浮かぶでしょう。

このように、まずは日本語をできるだけ平易なものにすることが、英語につまずかないコツなのです。これなら、学校で習ったレベルの英語で十分に対応できるはず。

さらに英語では、まず「結論」を伝えることが必要になります。拙著「mini版 1週間で英語がどんどん話せるようになる26ルール」(アスコム)に詳しく著していますが、英語で話すときに、最初に頭の中ですることは、「主語」(何が・誰が)+「結論」(どうした)を決めることです。

上野陽子「mini版 1週間で英語がどんどん話せるようになる26ルール」(アスコム)
▼日本語

私は明日、友達と一緒にコンサートに行き――「ます」か「ません」

肯定・否定の両方が考えられて、文章の最後まで結論がわかりません。

▼英語

肯定なら→I go to~
否定なら→I don’t go ~
疑問なら→Do you go~

英語は「行った」「行かない」「行きますか?」と、最初に肯定、否定、疑問がわかる言葉です。つまり、「結論」が決まれば英語の“話し始め”は決まるわけです。さらに英語は「主語を曖昧にしづらい」言葉だと頭に入れておくだけでも、だいぶ英語にしやすくなります。

<話し始めるための3ステップ>
(1)主語を決める
(2)結論を決める
(3)型を決める

では、日本語から英語に訳すときの、思考の方法をご紹介しましょう。