いますぐ「米」「パン」「麺」を減らし、「肉食」に転換を――。医師の宗田哲男氏は、著書『「ケトン体」こそ人類史上、最強の薬である』(カンゼン)で、そう呼びかけています。今回、宗田氏の著書から「一部に根強い『糖質制限は体に悪い』は嘘!」という一節を紹介します。ヘルシーな食事をしているつもりなのに糖尿病が悪化する理由とは――。

“糖質制限=カロリー制限”はウソ

「米に焼き魚、漬物、味噌汁」の日本食がもっとも健康的で、米は体によいものだと日本人は考えがちです。高齢の方ほど、質素な日本食が“古き良き”ものと捉え、漬物とご飯だけで食事を済ませたりします。しかし、米の栄養素はほとんど糖質。とくに、精製された白米は未精製の玄米に比べ、食後、急激な血糖値上昇を引き起こします。米に対する間違った認識が、「ヘルシーな食事をしているつもりなのに糖尿病が悪化する」という事態を引き起こしているのです。

糖尿病の多い都道府県を調べると、上位から青森県、秋田県、香川県、徳島県、島根県と続きます。青森県、秋田県は塩分が高い漬物を、たっぷりのご飯と一緒に食べる習慣があり、米の消費量が高い県です。香川県はうどんの消費量の高さが一因でしょう。

一方、糖尿病が一番少ないのは神奈川県。車移動が中心の前者に比べ、電車を使って歩く時間が圧倒的に多いのが、理由のひとつだと考えられます。ちなみに、現在の小学校の給食は「ご飯にジャガイモのコロッケ、マカロニサラダ」など、糖質だらけの食事が多くあります。それでも子どもたちの健康を害さないのは、食後に外で遊ぶ時間があるなど、体を動かしているからです。ただ最近は、多くの教室で冷暖房が完備され、学校の環境もどんどん快適になっているため、糖質のとりすぎで肥満になる子が増えていく懸念は拭えません。

「糖質制限が危険」という考えは、「制限すると摂取カロリーが足りない」という誤認から来ています。高齢者の糖質制限がダメというのは、糖質制限=カロリー制限だと考えているからです。米を肉に変えたことで、心も体も元気になった高齢の方はたくさんいます。超高齢化社会による医療費負担が課題となっている日本だからこそ、高齢者の皆さんが肉食に切り替え、健康寿命が長くなればと心から思っています。