73歳で駒澤大学に通い始めて、もう1年余りが過ぎました(2016年)。ボクは「社会人入学」しているんだから特別扱いしてくれると思っていたんだけれども、そうじゃないんだね。毎回出席取られるし、試験もある。

ボクの大学入学は亡くなった母親の夢でもあったのです。父親の事業が傾いて、ウチはとても貧乏でした。中学生の頃に、母親が借金取りに頭を下げているところも目撃しちゃった。だから、大学進学を諦めたんだけど、母親はそれをずっと気にしていたらしいの。

ボクは、そんな母親を大きな家に住ませてあげたいと思い、有名になってお金を稼ごうと決めたんだ。それにはプロ野球選手か映画スターしかない。でも、野球は打撃センスがなくて、いち早く断念。役者も、自分の顔を鏡で見て無理だとわかりました。タレ目の俳優なんて一人もいないですからね。そして、高校を卒業して飛び込んだのが、「コメディアン」の世界でした。

職業柄、ボクは番組のロケなどで「名人」とか「名工」と呼ばれる人に会います。包丁を作る職人さんに聞いてみると、「小さい頃から好きで仕事に就いた」という人はいなくて、仕方なく家業を継いだという。だけど、努力して超一流になり「うん、やって良かったよ」と笑いながら話してくれます。