見分け方【2】残業時間に上限がある

同じように1カ月45時間までは残業代を払いますと上限を設けている会社もある。これも上限なく働かせようとする巧妙な手口だ。明石氏は「普通の労働者はそう言われたら45時間以上は申告できないと勘違いしてしまうが、働いた分を支払わないのは違法です」と警告する。

見分け方【3】入社3年以内に裁量労働制

固定残業代は主に中堅・中小ベンチャー企業に多いが、大企業で比較的多いのが「裁量労働制」の適用だ。例えば、使用者と労働者代表が1日のみなし労働時間を9時間と決めると、法定労働時間の8時間を超える1時間分の割増残業代を支払えば、9時間を超えた分の残業代を支払う必要がない(この場合でも、休日、深夜の割増賃金は発生する)。一方、適用される社員は出勤・退勤時間を自由に選べるというのがタテマエになっている。

しかし、実態は普通の社員以上に長時間労働を強いられたうえに半数近い社員が出退勤の自由がないとの調査結果もある(労働政策研究・研修機構の「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果」)。しかも主に管理職手前の20代後半以降の社員に適用されることが多いが、ある損害保険会社の中には入社2~3年後の20代前半の社員にも適用している例もある。

明石弁護士は「一部の残業代が出るだけで事実上の固定残業代と同じ。裁量がない若手社員を対象にするのは問題です」と指摘する。就職先に裁量労働制があるか、何歳ぐらいから適用されるのかも要チェックだ。

見分け方【4】離職率や有休消化率が未公開

入社前に離職率や有給休暇の取得率などの情報を確認することは必須だが、なかには開示していない会社もある。

「面接などで『御社の入社後1年間の離職率はどのくらいですか』『有休の消化率はどのくらいですか』と質問をすることです。そのときに担当者が口をつぐんだり、渋い表情をしたら、何かあるな、やばい会社だなと思ったほうがよいでしょう。ブラックな会社ほど長時間の残業が多いし、まず有休を取らせません。情報開示が不十分というのは一つの目安になります」(同)