マスコミで“ブラック”な会社が盛んに報道されているが、実際に就職先選びでも、残業時間を重視する人が増えている。
人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパンが実施した調査(職務動向調査2016)によると、転職先を決めるときの評価基準は全世代では「仕事内容」「給与」「勤務地」の3つが上位を占める。だが、転職コア層である30~34歳では、約4人に1人が「労働(残業)時間」を転職先選びの決め手にしている。
見分け方【1】募集要項で残業代が固定
当然、採用面接の際にだいたいの帰社時間を聞く人も多いだろう。だがブラック企業被害対策弁護団の明石順平弁護士は「採用担当者から『遅くても21時台には帰ります』と言われたが、入社したら早くても22時台だったという例もある。ウソをつかれたらなかなか見抜けない」と指摘する。では“ブラック”と呼ばれるそのような会社を見分けるには、どうすればよいのだろうか。
まず、募集要項に「月給30万円以上(定額払割増手当を含む)」あるいは「月給30万円以上(実績)」等と記載している企業は要注意。これは残業代込みでの給与を意味し、固定残業代と呼ばれるものだ。
「固定残業代制を採用している会社は残業代の支払いを回避して、長時間労働をさせる会社であることは明らかです。基本給30万円と書いてあっても、よく聞くとそのうち30%が残業代ですという会社もある。あるいは基本給以外に営業手当や定額残業手当といった手当があり、30時間ないし40時間分の時間外手当が含まれると書いてあるところもあります。ひどいところでは、募集段階ではなく、入社した後になって80時間分と言い出す会社もある」と明石氏は言う。さらにこう続ける。
「判例上は残業代とそうでない給与を明確に分けることが要求されていますが、分けるだけでは足りません。固定分を超えた分をきちんと支払う必要があります。例えば、固定残業代が40時間分と決められていた場合、40時間を超えれば超えた分の残業代を支払う。でも、規定の残業時間を超えても払われていないのが実態です」(明石氏)