関東地方から撤退した理由

かつてスガキヤは関東地方にも店があった。たとえば東京都内で唯一、同じ味が楽しめた高田馬場店は2006年9月で閉店。それから10年以上になるが再進出は果たしていない。

[上]幸楽苑[下]日高屋

「出店戦略の一貫として見直し、関東地方から撤退したのです。もともとスガキヤは小商圏対応の業態で、愛知県内の店に象徴されるように商圏人口が4万人未満で成り立つビジネスモデルです。それが関東ではうまく機能しませんでした。黒字経営の店もありましたが、不採算店を閉店させると、残った黒字店もスケールメリットや材料供給の面でむずかしくなる。そうした総合的な経営判断をしたのです」(菅木氏)

冒頭で紹介した幸楽苑が愛媛県以西には展開していない点、日高屋が関東地方中心で「箱根の山」を越えない点と合わせて考えると興味深い。ラーメンは国民食の一方で郷土食でもあり、全国各地にご当地ラーメンがある。味のベースも基本の醤油味、味噌味、塩味、とんこつ味があり、さらに魚介だしや鶏ガラだしなど多岐多様にわたる。

高井尚之 (たかい・なおゆき)経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(プレジデント社)がある。これ以外に『カフェと日本人』(講談社)、『「解」は己の中にあり』(講談社)、『セシルマクビー 感性の方程式』(日本実業出版社)、『なぜ「高くても売れる」のか』(文藝春秋)、『日本カフェ興亡記』(日本経済新聞出版社)、『花王「百年・愚直」のものづくり』(日経ビジネス人文庫)など著書多数。
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