管理職になったら、「腹心」を持ちたいと考えるのが人の常。では、その部下は「友達」のように気心の知れた人間でいいのだろうか。

友達関係の上司と部下、お互いをどう思っている?

「つきあいの長いあいつなら、仕事のパートナーとしてもうまくいくはずだ」「前職時代に多くの時間を一緒に過ごしたから、お互いをよく理解しているので話が早い」。このような理由で、「友達」を採用し、部下にした経験のある経営者は少なくないはずだ。

また管理職であっても、「あいつとは話が合うし、プライベートで一緒にいても楽しいから、部下にしたい」「前の部署では同僚として仕事をして仲が良かったので、今度は自分の右腕として活躍してほしい」といった理由で、自分の部下を選抜したことはないだろうか。

一見、うまくいきそうにも思えるが、実際のところはどうだろうか。「仲が良い」ことを理由に部下を選ぶとどんなことが起きるのか。

「友達」「仲が良い」という関係性は、多くの場合お互いが「対等」のときに成立する。そういうと、「いやいや、親しい部下であっても対等ということはない。ちゃんと上司として接してくれる」という反論が聞こえてきそうだ。

部下から対等だと思われる上司とそうではない上司とはどこが違うのか。それは、「上司として恐れられているか否か」という点にある。この「恐れ」の有無は、上司の指示が守られていないときや、設定された目標を下回っているときの態度に現れる。そこで、「仲が良いから許される」という態度をとる部下は、上司と自分が対等だとみなしている。