それでもデキる友達を部下にしたい!

特例を前提とする上司が発するルールは、もはや、ルールの体をなしていない。そして、ルールがなし崩しとなった組織では、都合が悪いことが起きた際に、部下が「ルールが悪い」「ルールを変えて欲しい」「こういうルールを作って欲しい」という思考を持つようになりがちだ。上司は一部に特例を認めている手前、部下のルール変更、開設の要望に答えなければいけなくなる。当然全てに答えることはできず、不満が生まれ、そのために費やした時間は、生産性のないロスタイムとなる。

「仲が良い」というだけで部下を選ぶことがいかに危険か、おわかりいただけただろうか。しかし一方で、経営者や上司として人の上に立つような人物の友達に、能力が高く信頼できる人間が多いことも事実だ。

何を隠そう私も自分が経営している会社の役員として、前職時代の同期、つまり友達を採用している。それこそ、若い頃は一緒に合コンに行ったような仲だ。しかし、今の私たちの関係は対等ではない。部下と上司という関係の中、彼は私に敬語を使うし、昔のように飲みに行って馴れ馴れしく話をすることもない。

友達を部下として採用する場合は、その関係を断つくらいの覚悟が必要だ。対等な意識が残ると、会社拡大のために果たさなければいけない機能を妨げることになるからだ。また、他の部下に与える影響を考えた時には、日頃のコミュニケーションにおいて、「元・友達」の部下に対しては、ほかよりも距離をとるように意識してもしすぎることはない。

安藤広大(あんどう・こうだい)
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学卒業。同年、NTTドコモ入社後、2006年ジェイコムホールディングス(現在のライク)へ入社。主要子会社のジェイコム(現在のライクスタッフィング)にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」と出会い独立。識学講師として数々の企業の業績アップに寄与。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、識学を設立。著書『伸びる会社は「これ」をやらない!』を執筆。
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