かつて私がモルガン・スタンレー証券の投資銀行部門で働いていた5年間を振り返ると、エクセルを使って収益計算ばかりしていたように思います。数字をひとつ間違えれば大きな損失を招く可能性があるわけで、完璧なエクセル計算は、社員に求められる重要なスキルでした。

作業をこなす中で気づいたのは、「見やすさ」がいかに大事かということです。プレゼンを想定して「格好よさ」に走ってしまうビジネスマンも少なからずいます。しかし、見にくいエクセルは、伝えたいポイントを把握するのに時間がかかり、ストレスがたまり……と悪いことだらけ。そうしたエクセルを作っている人は、計算ミスを繰り返し、数的思考能力が上がらないままです。

投資銀行で評価されるのは見やすく説得力のあるエクセルで、「見やすさ」を重視したフォーマットのルールが定められています。スーツに気を使うように、資料も見映えのよさが肝心。誰もが瞬時に理解できる表を作成し、顧客や仲間からの信頼を獲得しましょう。

【数字、文字をきれいに見せたい】

[1]数字はArial、文字はMS Pゴシック
エクセルの標準フォント「MS Pゴシック」は、半角英数字のキメが粗いため、文字の線の太さが均一で数字のキメが細かい「Arial」に設定。表中のフォントサイズは統一すること。

[2]数字は右揃えで桁を合わせよう
文字は左から読むが、数字は右から1、10、100……と桁数を数えて読むもの。そこで右を起点に揃えれば数えやすく、一目見ただけで大体のボリュームも認識できる。

[3]罫線はグレーで横に点線を引こう
表を見やすくする秘訣は、線をなるべく減らすこと。文字を左に、数字を右に揃えれば、縦に線を入れる必要がなくなる。横線はグレーで点線にし、上下だけ太めにすると、メリハリがつく。

[4]行の高さは18に揃えよう
初期設定の行の高さ(縦幅)「13.5」のまま作った表は、行間に余裕がなく、見ていてストレスに。「18」に変えて上下にゆとりを作るだけで、洗練された印象を与える。

[5]単位はセルを独立させ1列に揃えよう
「売上(円)」「客数(人)」など、単位が統一されていない表は、見づらい。必ず専用の単位列を作る。項目も内訳を横幅1つだけ右にずらすことで、計算の流れが一気にわかりやすくなる。

[6]表の背景色は要所だけ薄く入れよう
濃い色の背景は、表の主役である数字が目立たなくなってしまうので、カラーパレットの一番上の列にある薄い色を選択。青系、オレンジ系の2種類ほどに絞るとなおよい。

[7]ベタ打ちは青、計算式は黒の数字に
計算結果が表示されるセルの中に、ベタ打ち(直接入力)の数字が入るのは、混乱のもと。その2つの数字は色分けを。どれが変更可能な数字か、すぐわかる効果もある。