歴然たる差 親の貧富別「子どもの趣味」実施率
ちなみに親の趣味・嗜好が子どもに伝播するのか分かりませんが、子どもの趣味も家庭環境によって違っています。図2は、小学生(10歳以上)の趣味を、貧困層と富裕層で比較したものです。横軸に年収300万未満、縦軸に年収1500万以上の児童の実施率をとった座標上に、33項目の趣味を配置しています。
実斜線は均等線で、このラインより上にあるのは、貧困層より富裕層の子どもの実施率が高い趣味です。趣味をやるにもお金がかかる面があるのか、ほとんどの項目で富裕層の実施率のほうが高くなっています。逆に、富裕層より貧困層の子どもの実施率が高いのは、カラオケやキャンプくらいです。
点斜線よりも上に位置するのは、富裕層の実施率が貧困層よりも10ポイント以上高い趣味です。芸術系の趣味は、階層差が大きいようです。ここでみているのは家庭の経済力による差ですが、親の職業による違いも顕著でしょう。横軸にブルーカラー、縦軸にホワイトカラー家庭の実施率をとったグラフにしても、同じような図柄になると思われます。
これから先、大学入試もペーパー主体から人物重視に方向転換されるそうですが、そうなった時、親世代の文化差が、子ども世代のアチーブメント(達成度)に投影される度合いが高まらないかどうか。面接での立ち振る舞い、余裕の程度、話題の豊富さ……。こういうことは、ペーパーで測られる読解力や計算力などよりも、家庭の文化的環境を色濃く反映すると思われます。図2のような「体験格差」を媒介にしてです。