国民が知りたいのは解散情報や1分1秒を争う当確情報じゃない!

トランプのおっちゃんはアメリカ大統領に就任早々、メディアと大喧嘩しているけど、この方が馴れ合いよりもよっぽどいいよ。トランプ氏に罵倒されたCNNは、トランプ報道チームを作るんだって。いいじゃないか!! 他のメディアだって、トランプ大統領やホワイトハウスに気を使うことは一切ない。ガンガン報道できる。

そして政治家と記者の人間関係を基にして他社と横並びの情報を入手できる代わりに特ダネ競争が生じないという状況から、各社が本気で取材競争する状況に変わるんじゃないかと期待している。それも政治家との人間関係を頼りにしたどうでもいい情報じゃなくて、特定テーマについて深掘りする調査報道へ。

どうもメディアの側も政治部の常識にどっぷり浸かってしまっているのか、メディアが流す情報と、本当に国民が求めている情報とにかなりの乖離があるね。政治部の世界で称賛される情報は、正直国民にとってはどうでもいい情報が多いね。例えば、永田町、政治部の世界では、首相が解散をいつするのかという情報が、トップ中のトップの情報となっている。永田町に生息する記者は、この情報をつかむことに命をかけている。

そりゃ国会議員にとってはいつ解散が行われるかというのは死活問題。選挙の準備にかかわってくるからね。でも国民にとってはどうでもいい情報。首相が解散宣言をしたら、後で教えてもらうだけで十分。ところが、永田町の記者の間では、このいつ解散をするかの情報を少しでも早く入手した者が最高の栄誉を与えられる。

こんなところから、メディアと有権者の意識が乖離し始めているんだよね。メディアが本当に国民が求めている情報、本当に国民のためになる情報を捉えきれていない。丁度、政治家や自称インテリが国民の意識を捉えきれていないのと同じように。というよりも、むしろ政治と有権者を媒介するメディアが国民の意識を捉えきれていないことが、政治と有権者が乖離している状況を生んでいる。

メディア側ももうそろそろ、国民が必要としている情報は何かについて、国民視点で考え直さないとほんと国民から愛想を尽かされるよ。解散の時期や、首相の進退、要職の人事の話、誰と誰が引っ付いて離れるかという政治グループ闘争、なんていうことはその事態が生じた後に報じてくれれば十分。選挙の事前予測なんていうのも、国民は選挙結果を教えてくれれば十分なんじゃないかな。国政選挙のたびに選挙特番が放送されて、そこで一番金と人をつぎ込むのが事前予測。でも当選確定情報を一分一秒争って国民が早く知る必要はない。当選情報を知りたいのは永田町の住人である政治家本人なんだよね。その永田町の感覚をそのままメディア、特に政治部が共有しちゃっている。

選挙特番で本当に重要なのは公約の検証だったり、その時の政治課題の検証やそれに対する対応策だったりだ。当選情報なんていうのは選挙結果で知らされれば十分。当選情報を他社よりも一秒でも早く報じるために莫大なエネルギーを割くなんて無駄の限り。

そんなことよりも政策の中身を丁寧に説明する、政治の闇について深掘りした調査をする、政策の行方について可能な限りの専門的知見を踏まえて予測をする、現在の有権者一般の意識を丁寧に拾い上げる、などなど本来やるべきことは山ほどあるんだよ。でも他社が選挙の事前予測、当確情報を一分一秒を争って早く報じているときに、自社だけがそれを控えるというのは現実的に厳しいだろうね。やるなら全社でやーめた、とならないとね。視聴者が当確情報をいち早く流しているチャンネルに目を止める傾向が変わらないなら、テレビ局の報道の仕方も変わらないだろうね。この点についてはまた深く論じます。

記者は、他社が入手している情報を自分にも提供してもらうために、政治家と人間関係を築く。ゆえに自分だけが嫌われないように政治家に気を遣う。それで政治家との良好な人間関係を築くことが最重要目標となってしまう。もうこうなるとメディアは情報欲しさのために、政治家と戦えなくなる。

ところが今のトランプ氏とメディアの大喧嘩状態は、国民にとってはいい傾向だ。記者はトランプ氏、ホワイトハウスに一切気を遣うことはない。ただ注意しなければならないのは、ホワイトハウス側がメディアの切り崩しをやってきたときだね。

敵と味方をきっちりと分ける。味方には情報を渡し、敵には情報遮断。取引に自信のあるトランプ氏なら、メディアとの取引もやってくるだろう。味方に位置付けられたメディアは、特別な情報を手に入れる代わりに、完全に権力の犬となる。敵に位置付けられたメディアは、特別な情報欲しさにトランプの味方に変わりたい動機が強くなり、権力と戦うガッツを揺さぶられる。このときにメディアはどうするかだね。

国民のことを思えば、メディアはとことんトランプ・ホワイトハウス側と中身のある言論闘争で戦ってもらいたいね。そしてトランプのおっちゃんも、メディアを取り込むんじゃなくて、言論闘争の範囲内でメディアとガンガン戦ってもらいたい。その場合にはメディアからの取材拒否、質問拒否は絶対にやってはいけない。とことん取材を受けて、とことん質問を受けて、ガンガン激論すればいい。最後は有権者が判断する。

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.41(2月7日配信)からの引用です。全文はメールマガジンで!!

橋下徹公式メールマガジン 好評配信中!Vol.42は2月14日配信予定
政界に突然彗星のごとく現れた男は、大阪の何を変え、誰と戦い、何を勝ち得たのか。改革を進めるごとに増える論敵、足を引っ張り続ける野党との水面下での 暗闘をメルマガ読者だけに完全暴露し、混迷が続く日本経済、政界の指針を明確に指し示す。政治家、弁護士、そして、7人の子どもを持つ親として、読者から の悩みごと、相談に、ズバリ答えていく。大物との対談も掲載!