スポットコンサルティングサービスを提供する「ビザスク」の社長、端羽英子さん。スポットでコンサルティングをしてほしい人と、専門家とをマッチングさせる、日本ではまだ珍しいサービスである。
端羽さんは起業に至るまでに、投資銀行、化粧品会社、留学や投資ファンドなどめまぐるしいキャリアを駆け抜けてきた。出産によるキャリア中断も経験し、現在はシングルマザーとして子どもを育てながら会社を経営している。端羽さんが語る「キャリアの考え方」とは?

東大生イコール官僚になると思っていた

――最初にキャリアプランみたいなのを立てたのはいつごろですか。

【端羽】私は田舎の出身(編注:端羽さんは熊本出身)なので、大学に入ったときには、東大生イコール官僚になるものだと思ってたんです。あと英語が好きだったので留学はしたいなとも考えていました。官僚になると留学させてもらえるんじゃないかと思っていました。財務省か経産省に行きたいと思っていて、大学3年のゼミも、そういうところに行きやすいのかなと考えて選んだんですが、その後結婚することになる彼に出会って勉強したくなくなっちゃって。留学するなら自分で稼ごうと考えた時に、就職活動をしようと思って外資系や、新規事業を積極的に進めていそうな会社を中心に見ていました。

ビザスク社長・端羽英子氏
――官僚とは対極のゴールドマン・サックスへ行ったのには、なにかきっかけがあったんですか。

【端羽】官僚の人たちが大学に来てくれるので、よく話もしていたんです。色々聞いていると、最初からすごく裁量が大きな仕事をさせてもらえるというよりは、徐々に増えていく感じなんですよね。

大学4年生の時にはすでに当時の彼と結婚するだろうなと思っていて、子育てするまでの間に働けるだけ働きたいという気持ちがあったんです。なので、若いうちにできるだけのことをやりたいなと思ったときに、外資系の投資銀行なら最初から配属される部署もわかっているし、手に職をつけることが出来るんじゃないかなと考え、ゴールドマンサックスに決めました。

でも、格好つけずに話すと、大学3年生のときにGSも知らなかったんです。ゴールドマン・サックスだって知らなくて、ガソリンスタンドだと思ってました。新しいことをやっているところがいいなと思っていたので、トヨタ自動車とゴールドマンで迷ったんです。トヨタも新規事業をやっている部署があって、当時オレンジ色の「WiLL」っていう異業種合同プロジェクトを見ていて、新しく事業を作る仕事も面白そうだなと思っていました。

――はい、ありましたね、コクヨとか複数のメーカーが参加して。

【端羽】あれをやっている部署の人とお話して面白そうだと思って、そこで働きたいなと思ったけれど、どの部署に配属されるか入社するまでわからないんですよね。面接の最後のほうは、多分財務かなにかの役員の方だったんですよね。これは自分が興味をもっていた新規事業関連の部署ではなく、財務畑の可能性があるなと思いました。そういった理由から、自分が会社に入った後に何の仕事ができるかわかっているところがいいなって、ゴールドマンに決めたんです。

――ゴールドマン・サックスを選んだときは、どれぐらい先までキャリアプランを立てていましたか。

【端羽】入ったときは何も考えてなかったんです。3年働いて留学できたらいいなとは思ってました。起業したいみたいな気持ちは当時も何となく持っていて、町のケーキ屋さんの経営相談とかができるような、起業というよりは独立したコンサルタントみたいなのになれたらいい、みたいなことを思ってたのを覚えてますね。でも、それでなぜ戦略コンサルに行かなかったのか、今考えると不思議ですよね。