家族手当の対象配偶者は収入103万円までが主流
政府は所得税の配偶者控除の廃止を進め、早ければ2018年1月より実施される見通しということです。いわゆる「103万円の壁」をなくすことで、パートなどで働く主婦層の労働時間を拡大しようという狙いです。また、専業主婦世帯への税制優遇に対する不公平感解消という側面もあります。
いずれにせよ、「夫が外で働いて、妻は専業主婦として家庭を守って」という、戦後のサラリーマン家族モデルが、時代に合わなくなっていることが背景にあります。
しかも、配偶者控除廃止は、税金面の問題だけに留まりません。それは、多くの企業で支給されている家族手当への影響です。しかし、なぜ家族手当に関係するのでしょうか。
厚生労働省の「平成27年賃金事情等総合調査」によると、家族手当を支給している会社の割合は約8割。手当額の平均は、表のようになっています。ただし、社員数1000名以上の大企業を対象とした調査のため、中小企業においては、支給企業割合、平均額とも、これより下回ると考えてください。
さて、ここからが問題です。人事院の「平成27年職種別民間給与実態調査」によると、家族手当を支給している企業のうち、対象となる配偶者に収入制限を設けている割合が約85%。さらに収入制限の額として、約7割が「103万円」すなわち配偶者控除の上限額を使用しているのです。こうしておけば、社員の年末調整の際、配偶者の収入が上限額を超えていないかどうか、企業側は容易にチェックすることができます。
しかし、配偶者控除が廃止になれば、収入制限を103万円に設定してきた根拠自体を失ってしまうのです。