対応を迫られる自治体に寄せられる声はどのようなものか。口コミで人気に火がついた区民向けセミナーの内容をリポート。

マイナンバーは国の制度だが、個人番号カードを交付し、マイナンバーをもとにした事務手続きの多くを担うのは市区町村だ。東京都世田谷区は23区で最も早く、2013年9月に共通番号制度準備担当課を立ち上げた。住民への周知は広報紙などを通して行ってきたが、2015年6月のシンポジウムを皮切りに8月から区民説明会を実施。その目的を、同課課長の舟波勇氏は次のように明かす。

世田谷区役所地域行政部 共通番号制度準備担当課長 舟波 勇氏

「1月に実施された国のアンケートによると、マイナンバー制度を知っている人は3割しかいなかった。いろいろ報道されていましたが、それだけでは情報が断片的です。もっと体系的にお伝えしたかったし、区民から疑問や不安の声を直接聞き、広報活動に反映したいと思い説明会の実施を決めました」

区民説明会は区内の5カ所で平日の夕方に開催。1回平均70人が来場した。来場者の大多数は、高齢者や企業の経理担当者、そして主婦。質疑応答は穏やかに進んだという。

質問のうち3割は、通知カードや個人番号カードに関する質問だった。なかでも多かったのは、住民票の登録地と現在の居住地が違う場合はどうすればいいのかという質問だ。

「ストーカー被害等に遭ったり、施設や病院に入ったりして住民票を移していない方は意外に多い。そのような場合は現在のお住まいに送り先を変更できます。コールセンターにも同様のお問い合わせが多く、世田谷区ではこれまで1000件以上変更しました」

区民説明会が行われたのは、2015年6月の日本年金機構情報流出問題の後。セキュリティへの関心は高く、質問の2割は安全性に関するものだった。

「気をつけたいのは、17年から始まる『マイナポータル』。個人番号カードとパスワードを盗まれると他人に個人情報を見られる恐れがあるので、管理には細心の注意を払うべきです」

また、番号流出が心配だったのか、なかにはこんな質問をした人も。

「マイナンバーが必要なときはその都度マイナンバー付きの住民票を取るので、通知カードが届いたら切り刻んで捨てると宣言した方がいました。法律上は適正に管理してもらうことになっているのですが……」

説明会を重ねたことで、区民のマイナンバー制度への理解は深まった。しかし実際に制度が始まれば、新たな課題や疑問も湧き上がるだろう。世田谷区ではこれからも周知に努め、来年度以降も区民や事業者への説明を続けていく予定だ。

▼参加者の声と区の対応

「個人番号を記載した住民票を取るにはどうしたらいいか?」

→交付申請は窓口に限られる。自動交付機では交付されない
「個人番号カードは無料か?」
→初回は無料、再交付手数料は電子証明書つきで1000円
「住所や家族関係などが推察できるのか?」
→不規則な番号なので、個人は特定できない
「パソコンがないと、手続きの際に困るか?」
→現状、これまで通り窓口で手続き可能