よどみない「しりとりトーク」で相手を丸裸に

とにかく話が巧みな人は、こちら側の話を最後までしっかり聞き、話題を展開させていくのがうまい。話術の巧みな勧誘員は、いわば、しりとりをしながら、物事を考える。それに対して、稚拙な勧誘員は、話が切れ切れで、この先の話がどこに向かうのか、一向にわからない。

大根を包丁で切った形で例えると、稚拙な勧誘員は、大根切りしかできないのに対して、ベテラン勧誘員は、大根を薄くくるくるとげずりながら、こちら側の心を丸裸にしていくのだ。

営業マンにも話が上手な人と下手でない人がいるが、やはり、会話の中で、この「しりとりシンキング」ができているか否かが大きい。相手の話を踏まえたうえでの次の質問につなげる。これにより、よどみない話の流れができるのだ。

もっといえば、話の流れのなかで、マーケティング業界で頻繁に使うAIO分析をしているのだ。

AIOとは、活動(activities)、興味(interest)、意見(opinions)の頭文字をとったものである。仕事やそれ以外の余暇の時間をどう過ごしているか。何に興味や関心を持って、どんな意見を心に抱いているのかを分析する。それにより、相手の人となりが判断でき、その人にあったアプローチが展開できるというわけだ。

しりとりの面白さは、「りんご」「ごりら」「らっぱ」「ぱり」「りす」と、テンポよく話が進むところである。悪質商法でも、会話のしりとりをしながら、スムーズに商品の紹介、契約への説得と話を展開できる。しりとりが「すいか」「かばん」と、「ん」で終了するように、悪質商法でも「うん」という同意をさせて、勧誘活動は終了する。