グリットがこのようなかたちで注目されるようになったのは最近のことだが、経験に照らすと、確かに、成功している人の中には、グリットを持っているケースが多いように感じる。

相対性理論をつくったアインシュタインは、大学を卒業してもアカデミックなポジションに就職ができなかった。しかし、特許局で、物理学とは関係のない仕事をする中でも、時空の理論をつくるという夢を諦めなかった。アインシュタインには、グリットがあったと言っていいだろう。

スティーヴ・ジョブズ氏(写真=時事通信フォト)

スティーヴ・ジョブズも、グリットの人だった。アップルの創業期には様々な困難があったが、製品化までやり遂げた。一時期はアップルを追い出されたが、粘り強くやり続け、ついには返り咲いてiPhoneなどの画期的新商品を生んだ。

注目されるのは、グリットが、知能指数などのいわゆる「才能」とは関係がないということである。ダックワースさんによれば、むしろ、知能指数などとは負の相関すら見られるのだという。つまり、グリットは、誰でも活かすことができるということ。

誰でも、グリットさえあれば、最後までやり遂げる根性さえあれば、成功への道を歩むことができる。これは、大いに勇気づけられるメッセージではないだろうか。

(写真=時事通信フォト)
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