人間関係を構築するうえで、成功者とそうでない人はどこがどう違うのか。それがわかれば、成功への道のりも見えてくるというものだ。世界中のVIP1000人以上に取材を重ねてきたジャーナリスト・谷本有香さんにお話を聞いた。

仕事ができる人より心地いい人が選ばれる

成功者が付き合う人間を決める基準となるのは、「仕事ができるか」「この人といて自分の得になるか」という部分ではありません。もちろん、標準的な人より「仕事ができる」「役に立つ人物である」という大前提はありますが、彼らにとっての最重要事項は「一緒にいて心地いいか」という感覚的な部分。雰囲気やバックボーン、価値観が自分と似ているか、共通言語、共通体験を持っているかということが何より大切なのです。

そのため、「AさんよりBさんのほうが専門的な知識を持っている」という事実があっても、「AさんのほうがBさんより気が合う」と感じれば、迷うことなくAさんをビジネスパートナーに選びます。そして、一度人間関係がはじまってしまえば、相手がどんな大失敗を犯そうと「切り捨てる」という選択肢はほぼありません。少し意外なようですが、トップとビジネスを展開していくには、ビジネスライクな関係を超えて人間同士の付き合いをする必要があるということです。

あなたはどちらの人を大事にしますか?

こう言うと、「トップはかなり義理人情に厚いのだな」と思われるかもしれませんが、彼らの人間関係に対する感覚は非常にドライです。「一度付き合ったら一生付き合う」と決めているからこそ、初対面で「この人との関係は一生ものか」を厳正に審査しているのです。つまり、雑談を交わしている間に相手を観察して、瞬時に付き合い方を判断しているということです。トップに「雑談の達人」が多いのは、自分も相手から審査されるということを感じているからなのでしょう。軽く考えがちな初対面での会話は、実は厳しいテストの場でもあるのです。

彼らが感覚的な部分を重視するのは、価値観が同じなら少しの説明で考えを理解してもらうことができるし、大筋さえ共有すればあとは任せても安心できるから。「感情的な対立やコミュニケーション不足を解決するための時間は何より無駄だ」と考える彼らにとって、実は理にかなった取捨選択法だといえます。