仕事はまず8割終わらせる「ロケットスタート仕事術」

さて、ここからの2冊はビジネスパーソンが、自分の仕事への取り組みを見つめ直すのに、ヒントを与えてくれるような書です。

左から、『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』(ダイヤモンド社)、『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(文響社)

まずは『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』(山梨広一著/ダイヤモンド社)。著者の山梨氏はマッキンゼーでパートナーをされていた有名なコンサルタントです。本書のメッセージを一言で言うなら「同じ時間と労力をかけるならすべて“いい努力”に転換した方がいい」というもの。当たり前のようですが、これがなかなかできていない人が多いのです。

では、何が「いい努力」なのか!? 山梨氏は本書で「いい努力をするポイント」を7つに絞ってアドバイスしています。市場が縮小し競争が激化する中で、生き残るためにどこに経営資源を投入するか。サラリーマンの経営資源は時間とスキルしかないわけで、努力するポイントを間違えると結果が出ないばかりか大きな後退につながってしまいます。

最後は『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』(中島聡著/文響社)。著者は元マイクロソフトでウィンドウズ95の設計にも携わったというプログラマーで、「仕事を効率化する技術」について論じています。

プログラマーというのはいかに効率的に仕事を処理するかを考えるプロであり、中でも「ロケットスタート時間術」のススメには強く共感しました。つまり「仕事を受けたら一気に8割方は終わらせてしまいなさい」というものです。仕事は後回しにするとまず依頼内容や条件を思い出すのに時間がかかるなど、なにかと無駄な労力を使うものです。

夏休みの時間をどう使うか――私は「休暇後の生産性を上げること」に使うべきだと思います。ゆとりがあれば資本を投入するのがビジネスの鉄則ですが、サラリーマンの資本とはすなわち「スキル」と「時間」です。この機会にスキルを上げるための知識を得て、時間を節約する考え方を学ぶ。そうすると休み明けから生産性が上がって、仕事がラクに楽しくなるはずです。夏休みは本を読め!

(構成=渡辺一朗)
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