若者の間で「社会人カースト」という言葉が流行っている。有名大学を卒業して大企業に就職し正社員で、かつ人間力が高く、充実した人生を送る人々は「最上位のカースト」とされる。一方、学歴が四大卒未満、非正規社員で、見た目や性格がパッとしない人々は「最下層のカースト」となる。大阪大学人間科学研究科教授の吉川徹氏によると、若者たちが自分の序列(カースト上の位置)を意識するようになったのは、2008年のリーマン・ショック以降、学生が就職活動において企業から人間力を問われるようになってからだという。自己分析を通じて他人と比較し、上下の位置づけが見えるようになったためだ。また、雇用が流動化して転職が一般的になったことで、「雇用市場における自分の価値(実力やコネ)」を自己査定できるようになったことも背景となっているという。

若者は、自分の「カースト上の位置」を気にするようになった。

日本の学校教育は1990年のバブル崩壊以降、ゆとりと個性が強調されるようになり、若い世代は「自分たちは本来、平等であるはずだ」と信じて育ってきている。その間に大人の世界では「格差社会」がいわれ、階層化が進んでいるのだが、階層格差が明らかに存在し社会問題となっている諸外国に比べればまだまだだ。この言葉の誕生は、若者がリアルな階層社会に敏感になってきた象徴なのかもしれない。