今年1月の有効求人倍率は1.28倍となり、約24年ぶりの高水準になった。売り手市場となった転職市場で「カウンターオファー」という言葉が話題だ。これは退職を申し出た社員に対して上司から行われる退職引き留め交渉のことを指す。

「辞めたい」という優秀な部下をどう引き留めるか?(PIXTA=写真)

職務ごとに仕事内容が固定される雇用関係が多い欧米企業では、「年収を上げる」という昇給の提示を行って慰留することが多い。一方、日本企業では人に仕事を割り当てるケースも多いため、昇給だけでなく配置転換や業務内容の変更など柔軟な条件提示が可能である。

エン・ジャパンが運営する転職情報サイト「ミドルの転職」編集長の岡田康豊氏によると、カウンターオファーの成功率は推定20~30%程度とそれほど高くはない。「本人の不満や展望を聞いたうえで、本人が納得・満足するポジションと待遇を提示できれば成功する可能性がある。そういう意味では、何より大切なのは上司と部下との日々のコミュニケーションだ」(岡田氏)という。

だが、「日本の場合、仕事の中身ではなくコミュニティからの脱出を望んで転職を考えるケースが多い。そのため、仮に残留しても数年後に辞めていく可能性が高く、長期的な解決にはならない」(岡田氏)。安易な引き留めは、お互いのためにならないケースもあるようだ。