最近、主婦の間で話題の健康野菜がある。「ブロッコリー スーパースプラウト」というブロッコリーの新芽を商品化したもので、「スルフォラファン」という成分が身体の抗酸化力を高め、がん予防にも役立つ。生産する村上農園はこうした機能性野菜でトップを走っている。

がんの予防効果がある「スルフォラファン」

村上清貴・村上農園社長

2015年の年末、日本テレビの番組で、ダイエットに効果的として、「ブロッコリー スプラウト」が紹介され、スーパーで品切れになるほど、話題を呼んだ。ブロッコリー以外にはほとんど含まれない「スルフォラファン」という成分が、肝臓機能を向上させ、糖分や脂肪の分解を促し、代謝を改善する。スプラウトとは新芽のことだが、村上農園のブロッコリー スプラウトには通常のブロッコリーより7倍も多くスルフォラファンが含まれている。

村上農園が日本で初めて本格的に開発した機能性野菜「ブロッコリー スプラウト」は1999年に生産開始され、2001年にはブロッコリーの約20倍という高濃度のスルフォラファンを含む「ブロッコリー スーパースプラウト」が発売された。社長の村上清貴(55歳)は、販売の好調ぶりをこう語る。

「昨年、山梨県にある工場の生産設備を増強し、生産能力に余裕ができるかと思いましたが、それでも間に合わず、今期はさらに設備投資を予定しています」

植物由来の有用成分を「ファイトケミカル」と呼ぶが、中でも注目を集めているファイトケミカルがスルフォラファンである。スルフォラファンは、体内の解毒酵素と、活性酸素を取り除く抗酸化酵素の働きを高めることが分かっている。その結果、がんの予防やピロリ菌の除菌、花粉症抑制、肝障害抑制、悪酔い予防などの効果が認められている。

2015年4月からは、「機能性表示食品」制度が始まり、論文など科学的根拠を届け出れば、商品に健康上の効能を表示できるようになった。村上農園でも現在、申請に向けて準備中で、表示できるようになれば売り上げ促進につながるはずだ。

同社では、上記の他、エンドウ豆の若芽である豆苗(とうみょう)やスプラウト定番のかいわれ大根、国内初のビタミンB12を含有したかいわれ大根なども生産し、スプラウト業界ではトップを独走している。スプラウト類は鮮度管理が重要なため、同社では出荷当日に受注し、素早く冷蔵車で配送する全国規模の物流システムを作り上げている。ハウスで栽培する施設園芸の分野で、全国的に展開している企業は村上農園ぐらいだろう。

時代の後押しもあり、同社は2012~2015年度連続増収増益。2015年度は約59億円と、2011年に比べて約2倍の規模になった。

「スプラウト業界では売り上げ50億円突破は初めてのことです。2019年には100億円を目標としており、施設園芸業界では圧倒的なトップになります。規模だけでなく、いままで通り、当社は新しい野菜を開発し続けていくことに存在意義があると考えています」