仕事とはいえ、怒鳴られるのはツライもの。クレーム対応の達人が神経をすり減らした経験から得た、自分の心の守り方と、客の怒りを鎮める法を伝授。

Q. 罵倒もへっちゃら♪ になるメンタルの鍛え方は?

督促OL 榎本まみ●信販会社で支払延滞顧客へ督促を行うコールセンター業務に就く。心を病んで辞めていく同僚を見て一念発起し、言い負かされずにお金を回収する手法を開発。著書に『督促OL修業日記』『督促OL業務日誌』。

督促OL 榎本まみさんの回答

A. 新卒でクレジットカード会社に入社し、何も知らずに配属されたのがキャッシング専門の督促部署。ここがブラック企業ならぬ「ブラック部署」だったのです。私の仕事は返済期限を過ぎても入金のないお客様に、「お金を返してください」という電話を1日中かけまくること。そんな電話は愉快ではないでしょうが、しょっちゅう「バカヤロー!」と怒鳴られたり、「てめぇ、ぶっ殺すぞ」と脅されたりするのには参ってしまいました。心身を病んでどんどん脱落していく同僚。私も心因性の奇病にたびたび襲われ、入社半年で10キロやせてしまいました。

考えてみれば、私たちは何も悪いことをしているわけではありません。借りたお金を返すのは当たり前。それなのになぜこんなに罵倒されるのかというと、お客様が普通の状態ではないからでしょう。何度督促しても返済してくれない人は、たいてい多重債務者なので、返したくても返せない状態。かなり追いつめられているところへ追い打ちをかけるような電話がかかってくるから、ついキレてしまうのだと思います。それに電話では顔が見えない分、罵詈雑言を言いやすいのでしょう。

でもこちらも生身の人間なので、来る日も来る日も「ふざけんな」「うるせえ」と怒鳴られ続けていると、やっぱり傷ついてしまう。そこで角を立てずに返済を促す話し方や、自分の心を守る考え方を工夫するようになりました。特に自分をガードするために有効なのが、「ポイント制の導入」。つまり1回悪口を言われたら、それを1ポイントとして「悪口ノート」に記録するのです。すると不思議なことに、「次はなんて言われるのかな」とちょっと楽しみになってくる。ひどいことを言われたら、ポイント5倍にしてみたりして。