今年2月、高市早苗総務相は「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない」と発言。これが電波停止を命じる可能性を示唆するとして注目された。総務大臣が放送局に対して電波停止を命じることは、法的に可能だ。電波法76条では無線局の運用の停止、放送法174条では業務停止が命じられる。

「電波停止」発言がテレビ局に圧力をかけた形に(高市早苗総務相/AFLO=写真)。

高市大臣は放送法4条の規範──「公安及び善良な風俗を害しないこと」「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意高市大臣は放送法4条の規範──「公安及び善良な風俗を害しないこと」「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」──を持ち出して、公共の電波を使う放送局に対して“脅し”をかけたわけだ。しかし、各放送局に完全な中立性を求めることは現実的ではない。停波という事態を避けるために「多チャンネル化を進めたり、インターネット上のジャーナリズムを活性化させるなどして、国民が多面的な報道に接することのできる機会を確保することが重要」(慶應義塾大学総合政策学部教授の國領二郎氏)だという。

ただ、テレビ局が国に支払う電波利用料は、携帯電話などの通信事業者よりもずっと安い。この「電波利権」があるため、テレビ局が「電波停止」問題に関して政府を積極的に批判しにくい構図になっている。