年収1000万円世帯が
陥りやすい家計の病気

バブル後遺症

症状:40代以上の人がかかっていることが多い病気。社会人としてバブル景気を経験した世代で「高級」であることに喜びを感じる。洋服や小物は高級ブランド、車は高級外車、食事は高級レストランと、いくら家計が苦しくなっても、財布事情にマッチしない消費行動を取ってしまう一種の中毒症状である。多重債務に陥り破綻することもある。

原因:世の中の価値観の変化についていけない。

治療法:若い世代から見るとこうした消費行動は理解が難しく、“痛々しい”と軽蔑されることも少なくない。まずは時代が変わっているという認識を持つことが重要である。自分が思うほどには人は他人の消費行動に注目していないものだ。現実を見つめ、見栄をどこまで捨てられるかが治療のカギである。

危機感欠乏症

症状:あまりに危機感がないために重大な失敗を犯し、最悪の場合には家計を破綻へと追い込んでしまう病気。特に住宅を購入する際に危機感が欠けていると深刻な症状を引き起こすことが多い。

原因:根拠のない楽観的な見通しだけで物事を判断している。

治療法:「頭金ゼロ」という言葉に魅力を感じる人は、住宅ローンを返済できるかどうかよりも、借りられるかどうかに興味を持っており、危機感が欠如している可能性が高い。頭金ゼロなら、その分借入金も利子も増えることを忘れてはならない。給与が下がっても返済できるか。妻が働けなくなっても返済できるか。子どもに教育費がかかるときでも返済できるか。まずは冷静にこのような問題が発生した場合を想定してみるといい。無理なく返済できる、身の丈に合った物件の水準がわかるまで続けることで治癒に向かう。

(山本信幸=構成 坂本道浩=撮影)