2014年の自転車による交通事故件数は、10万9269件。取り締まりの強化などによって、10年前の約19万件に比べると大幅に減少しているが、全交通事故の2割を占める状態は相変わらずだ。
自転車には、車に乗るときに必要な運転免許証、自動車損害賠償責任保険への加入義務もない。誰でも手軽に利用できるが、道路交通法上の軽車両にあたり、万一の事故では賠償責任を問われることもある。とくに近年は、自転車事故の加害者に高額な賠償責任を命じる判例も出ている。
13年の神戸地裁では、歩行中の62歳の女性に、小学生の男児が自転車で衝突し、女性に頭蓋骨骨折による後遺障害を負わせた事例で、9521万円といった高額な損害賠償命令を下している。
賠償金の高額化から、兵庫県など一部地域では、条例で自転車の利用者に賠償責任保険の加入を義務付けるようになっている。今後、強制加入化は広がることが予想されており、このところ損保各社から新しいタイプの「自転車保険」が次々と発売されている。
たとえば、「三井住友海上ネットde保険@さいくる」のAコースは、損害賠償保険金が1億円。加入者の死亡やケガの補償(※)もついて、年間保険料は本人型が6400円。子どもや配偶者などを含めた家族型が1万3150円。
Cコースの年間保険料は、本人型が3570円、家族型が8760円だが、損害賠償はなく、加入者の死亡や入院補償がメイン。
このように、ひとくちに自転車保険といっても補償内容はさまざまだ。
自分のケガの治療費は、公的な健康保険でカバーできるし、ほかに民間の医療保険に加入していれば補償される。
自転車保険で重要なのは、事故の被害者への損害賠償。加入する際には保険料の安さに飛びつかず、補償内容を比較して、損害賠償額が1億円程度あるものを利用したい。
※死亡・後遺障害保険金額(後遺障害等級第1~7級限定)は500万円、入院保険金日額(支払限度日数・支払対象期間180日)は6000円、手術保険金は3万円または6万円、通院保険金日額(支払限度日数30日 支払対象期間180日)は1000円を補償する。