心ない言葉で子どもを責めるなツブすな

私は常々、中学受験の合格は「おまけ」みたいなもので、人生の大きな川の流れの中ではそんなに重要なものではないと主張している。なぜなら、12歳の受験。同じメンバーで別日に受験したとしたら、合格者の大半は入れ替わるとも言われているくらいの僅差の勝負なのである。

中学受験は一朝一夕にできるものではないので、そのプロセスにこそ価値がある。(筆者注:中学入試問題は小学校の教室レベルを超える問題を出題することが多いので、大多数の中学受験生は小学3年生の2月より専門塾に通うことがもはや、当たり前になっている。つまり、3年間の塾通いが一般的で、長期戦になる)

爆発的に身に付けたであろう知識、思考力、継続することの困難さ、目標に向かってコツコツと積み重ねてきた日々。

それらにプラスして、最も大切なことは知的好奇心の獲得だ。

「わかるって楽しい!」

このことがあなたの子どもの未来を明るく照らす。わが子はこの「ワクワク感」を経験したか? 子どもにはこれだけでいい。

合格も不合格もサイコロの目くらいの違いでしかないので、そこを言い続けても意味がない。もし、あなたのお子さんが自分自身の力で解法を得た経験があるのなら、それだけでも中学受験の道を辿ったことは意味がある。わずか12歳で知ってしまった快感。「知的好奇心の芽生え」こそが人生の扉を果敢に開けて行く一歩になるだろう。

せっかく芽生えたものを、心ない言葉でつぶさないでほしい。親がやるべきは、わが家の受験は「いい受験であったか?」の振り返りである。

中学受験は目の前で我が子が今、大きくなったという瞬間を目撃することを許される親にとってはたまらないギフトである。何もしなければ、日々はただ漫然と過ぎるが、多くの親は「この瞬間」を永遠に記憶にとどめることになるだろう。例えば……。