子どもからもらった「ギフト」は何だったか?

●「こんな成績で受験なんかやめちまえ!」と怒鳴った親に「絶対にやめない!」と言い切った日。
●運動会の練習もあって疲れ切っているのに、その足で塾に行き、さらに残業のように家で宿題を解こうとして、机に突っ伏した夜。
●塾の最終日、お迎えに出た母と共に夜空を見上げ、「ほら、ママ、冬の大三角が見える」と星座を説明してくれた夜更け。
●2月1日(受験初日)、受験会場に入るわが子の背中が妙に大きく見えたこと。
●2月2日、第一志望合格発表日、合格した友人に自分から駆け寄り「私はダメだったけど、おめでとう!」と自ら言葉をかけたこと。
●2月3日、第一志望の中学受験終了後「A中に出した答案に悔いはない」と言い切った日。
●2月4日、不合格続きなのに涙を見せないと思っていたら、布団の中から嗚咽が聞こえてくる。それなのに、部屋から出てきたときには「明日は絶対に頑張る!」と宣言したこと。
●2月5日、「塾、辞めずに続けてよかった」と言ったこと。
●2月6日、「やり切った!」と笑顔を向けてくれたこと。

あなたはもう数えきれないくらいのギフトをわが子からもらっている。こんなに強い子はいないと、こんなにいい子はいないとわが子を抱きしめたくなったろう。

母はこれを確認しよう。

(1)「母は孤高であれ!」を実践できたか。
(2)「まさかのまさかのまさか校」まで考えた受験だったか。
(3)たくさんの学校に足を運び、自分の目で見たか。
(4)夫婦で協力できたか。
(5)体調を万全にしてきたか(インフルエンザ予防注射は家族必須)。
(6)受験中、子供の気力を維持させ続けられたか(「まだ終わりじゃねーだろ?」と毎日自分にも言い続けたか?)。
(7)あいさつやお礼をすべき所をリストアップし、全てにきちんと礼儀をつくしたか。
(8)受ける学校に順位をつけず、「どこも良い学校」と本人に言い続けられたか。
(9)手続きミスのないように万全を期せたか。

そして、一番、肝心なこと。

(10)子どもの頑張りを声に出して認めたか。
(11)家族でお互いの健闘を称えあったか。

もう、これだけでいい。家族で「いい受験だった」と思えたならば、それは家族の歴史を彩るかけがえのない1ページになる。

これをご覧の読者の中には「うちは最後までやる気がないままで終了し、親へのギフトなんかなかった」とお怒りのご家庭もあるかとは思うが、それは誤解だと思う。

親の望みどおりの結果が伴わなかった戦犯探しを「やる気のなさ」「自主性の欠如」に求めているに過ぎない。見るべきポイントはそこではない。

結果はどうあれ、子どもは「受験する」という「勝負」をしたのだ。試験会場では誰にも助けてもらえないという「自分しかいない」という経験をしている。これは経験した者にだけ与えられる「人生のギフト」である。

干支2巡目の最初のページが「自立を促す」という強烈な体験になっていることにこそ親は目を向けるべきなのだ。親はこの経験を生かしながら、24歳の干支2巡目終了までにわが子を親の元から完全に独立させ社会に出すということを責務としなければならない。

「中学受験」はその最初の一歩なのだ。「総括」は未来に繋げる原動力にしなければならない。